お薦めの本の紹介。
今回は楠田丘さんのずばり「賃金とは何か」。
僕が所属する勉強会で、賃金制度設計の話をするときに出会った本だ。
楠田さんは日本の賃金制度(特に職能資格制度)普及の第一人者。
この本の特徴は…
①日本の賃金史(楠田氏の人生?)がよ~く分かる
②制度設計等の細かな話は一切ない(いわゆるハウトゥ本ではない)
③インタビュー形式で読みやすい
戦後GHQの女性官から直々に「職務給」を教わったくだりが印象深い。(職務給ってアメリカからの輸入だったんだぁ!と変なところに感心…)
「職能給」ではなく「職務給」。簡単に言えば仕事で給与を決定する性格のものだが、なかなか日本になじまない。
アメリカの「同一労働同一賃金」という考え方に対し、日本は「人基準」で賃金を決定したり処遇する。労働市場(調達先)もアメリカは外部、日本は社内であり、人材育成という概念がある。
一言で言えば風土が全く違うということ。このあたりの説明は、この本に何度も何度も出てくる。
それで楠田氏が試行錯誤し行きついたのが「職能資格制度」だった。そのあたりの苦労話も興味深い。
1975年に初めて本格的にダイエーに導入され、今日も(特に中小は)残っている。
今でこそ成果主義とか役割等級制度とか言っているが、この本を読むと賃金にも脈々とした立派な?歴史があるんだなぁと感心させてくれる。
かなり読み応えがあるが、特に賃金を勉強している人・賃金に興味がある人(ってあまりいないか)には一読をお薦めする^^
静岡市の就業規則のトモノ社労士事務所では、賃金制度や評価制度の設計も承っております。お気軽にお問い合わせください。
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