先日参加した社労士必修研修での、未払い残業問題に関するお話。
講師は日本労働弁護団副会長(徳住堅治弁護士)ということもあって、会場は満員。
判例を基に昨今の労使紛争や裁判事情が聴けて大変参考になったのですが、今回はその中で、依然増えている未払い残業問題についてご紹介。
・旅行添乗員のみなしについて
使用者の立場では「みなし労働」を主張し対抗するケースがあります。
その中で「阪急トラベルサポート事件」(東京地裁H22)が興味深い。
地裁判決では、国内ツアーはみなしの適用を否定し、海外ツアーはみなしの適用を容認しています。国内添乗員の方がお得?
まだ未解決の事件ですが、既に最高裁では国内ツアーはみなし不適と認めていますので、今後影響を与える可能性があります。
旅行業界の方、要注意!
・労働時間の把握方法
実は時間外労働や休日労働の立証責任は労働者側にあります。
最近はPCやサーバーの起動時間、メールの送受信時間等をもって立証するケースが増えています。
驚いたのは定期券。改札口を通過した時間で立証しようとするケースもあるとか。根性です。
・残業代請求の消滅時効
今までは未払い賃金の請求については、債務不履行として(労基法上)2年間の時効が常識でした。
しかし最近の「杉本商事事件」(広島高判H19.9.4)では、「時間外勤務がある場合にはその請求が円滑に行えるよな制度を整えるべき義務を怠った不法行為が成立する」として、3年間の残業代請求を容認。
不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、民法724条により被害者が損害を知った時から3年(又は不法行為から20年)です。この規定に基づいての請求でしょう。
ん~でも未払い賃金が不法行為!?どう考えても債務不履行のような気がしますが。しかも民法の特別法である労基法が優先するはずでは?腑に落ちません。
…でもまぁ結局、未払い残業をしなければいいだけの話なんですがね。
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