経団連が来春の労使交渉にむけ、定昇についての方針を発表しました。→関連トピックス
その概要は…
①仕事・役割に応じて等級を設け、賃金水準の上限と下限を決める。
②暫定措置を講じながら個々人を再格付けする。
③仕事・役割が変わらない限り、上限で昇給が止まる。
なるほど、定昇が難しい昨今、苦肉の案ともいえますね。
仕事で賃金が決まる「職務給」というアメリカ的発想と、終身雇用(人材育成)を前提とする「範囲給」という日本的発想をミックスしたものです。(特に目新しい考え方ではないが)
賃金原資に限りある中で人材を確保していくという意味では合理的だと言えます。
優秀な人材には、絶えずレベルの高い仕事やポストを与え続ければよいのです。
しかし多くの中小企業では、仕事(の種類)やポストに限りがあります。
仕事や役割が変わらない限り賃金が上がらないのであれば、やがてそれは「不満足要因」となり辞める原因にもなり得ます。
賃金とは非常にやっかいなもの。本質的な動機付けにならないばかりでなく、不満足要因となりやすいのです。
それを踏まえ、私は今回の案に次のような工夫・運用を提言します。
・将来像の明確化
仕事や役割の他、どのようなキャリアアップが可能なのか明確化する。
将来像が見えなければ、特に優秀な若手社員ほど不安になって辞めていく。
・仕事や役割の与え方
誰にでもチャンスの場を提供する。(例えば公募制など)
必ず目標を立て(責任を明確化し)、適切に評価する。
目標(の達成)や責任、承認は動機付けとなる。
・昇格の工夫
例えば賃金とは必ずしも連動しない「小刻みなグレード(資格)」を設け、
定期的に昇格させる。昇格は動機付けとなる。
今の時代「定昇なし」は仕方のないことだとも言えますが、「不満足要因」と表裏一体の関係にあることもよく認識すべきです。
人材を確保するためには、賃金のやっかいな性質をよく理解し、動機付けとなる工夫が必要です。
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Mヨシ (土曜日, 31 12月 2011 22:05)
定昇なしは確かに厳しいですよね。
特に子供が居れば子育てにかかるお金は年々増加していくのに、給料が上がらない訳ですから、年々厳しい生活になっていき不満が募っていく・・・年々矛盾が広がって行くわけですね。
一体この国はどうなっていくのでしょうか....
tomono (水曜日, 04 1月 2012 14:23)
Mよしさん、今年もよろしくお願いします。
そうですね、労働者からみれば賃金は「生活給」ですから。子どもがいればなおさらです。
デフレ経済からそろそろ脱却したいものですね。