昨晩は弁護士主催の勉強会でした。
テーマは「不当労働行為のボーダーライン」。
不当労働行為とは、使用者が行う労働組合運動に対する妨害的行為のことで、労働組合法第7条において禁止されています。
昨今は労組の組織率が低迷していますが(確か20%弱?)、「○○ユニオン」に加入する労働者が増えており、ユニオンからの団体交渉要求が増えています。
では団交を要求された場合、会社はどのような対応をとるべきでしょうか。ポイントをまとめてみました。
・不当労働行為をしない
具体的には不利益取り扱いや団交拒否、不誠実団交、支配介入をしないことです。不誠実団交とは、とりあえず(形式的に)団交に応じるというものです。
・誠実交渉義務
誠意をもって団交に当たらなければいけない、というものです。
主張の根拠を具体的に説明したり、必要な資料を提示するなどの努力が必要です。
「合意を求める労組の努力に対しては、合意達成の可能性を模索する義務がある」(カール・ツァイス事件、東京地裁平成元年9月22日)
・人事関連資料等の提出を求められたら、その根拠を聞くこと
団交で労組が会社の財務資料や人事考課査定などの資料の提出を求めてきた場合は、その求める根拠を聞いた上で判断することが大切です。
但し「人事の機密に属する」「組合員の労働条件とは関係ない」と回答するだけでそれ以上の理由を説明しようとせず、誠実交渉義務違反とされた判例があります。
・労働協約化を拒否しない
交渉の結果、労使間に合意が成立したにもかかわらず、使用者がその協約化を拒否すると団交拒否の不当労働行為とみなされます。
・一方的打ち切りは、出し尽くした末にできる
労使双方が主張や説明等を出し尽くし、これ以上交渉を重ねても進展する見込みがない段階に至った場合に初めて、使用者は団交を正当に打ち切ることが出ます。
・直接の使用者でない場合でも、使用者とみなされる場合がある
親会社や派遣先企業、出向先企業、請負契約等の相手方など、労働契約上の使用者以外の者でも不当労働行為が成立することがあります。
「雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配・決定することができる地位にある者」(朝日放送事件、最高裁平成7年2月28日)
・不当労働行為をすると、救済にかけられる場合がある
不当労働行為に対しては、労働委員会の救済制度があります。
同制度の流れはほぼ裁判と同じで、命令(判決)に対して不服があれば再審査か行政訴訟が可能です。
・不当労働行為をすると損害賠償(慰謝料)請求される場合がある
ちなみに上記救済では、労使関係の原状回復が目的のため、損害賠償を命じることはありません。
使用者側から悲鳴が聞こえてきそうです。
しかし団結権、団体交渉権、団体行動権は労働三権として「憲法」で保障されています。会社は慎重な対応が求められます。
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