改正労働者派遣法、規制強化で派遣業界に打撃

改正労働者派遣法が10月1日から施行されます。

①日雇派遣の原則禁止

雇用期間が30日以内の日雇派遣は原則禁止になりました。

ただし次の2つは例外として派遣OK。

一定の業務

ソフトウェア開発、機械設計、通訳、秘書、ファイリング、取引文書作成、受付、研究開発、書籍制作、広告デザイン等

 

次に該当する人

・60歳以上

・雇用保険の適用を受けない学生

・副業として日雇派遣に従事する人

・主たる生計者でない人

 

②グループ企業派遣の8割規制

派遣会社がそのグループ企業に派遣する割合は、全体の8割以下に制限されます。

 

③離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することの禁止

派遣会社が離職後1年以内の人と労働契約を結び、元の勤務先に派遣することはできなくなりました。(元の勤務先が該当者を受け入れることも禁止)

※ただし60歳以上の定年退職者は対象外

 

④マージン率などの情報提供派遣料金の明示

関係者への情報公開

インターネットなどにより、派遣会社のマージン率や教育訓練に関する取り組み状況などの情報提供が義務化されます。

 

派遣労働者への明示
雇入時、派遣開始時、派遣料金額の変更時には、派遣労働者の「労働者派遣に関する料金額(派遣料金)」の明示が義務化。

・明示すべき派遣料金

「派遣労働者本人の派遣料金」か「派遣労働者が所属する事業所における派遣料金の平均額(1人あたり)」のいずれか。

・明示の方法

書面、FAX、Eメールのいずれか。

 

⑤待遇に関する事項などの説明

派遣会社は、労働契約締結前に派遣労働者として雇用しようとする労働者に対して、次について説明することが義務化されます。

・雇用された場合の賃金の見込み額や待遇に関すること

派遣会社の事業運営に関すること

労働者派遣制度の概要

 

⑥派遣先の都合で派遣契約を解除するときに講ずべき措置

派遣先の都合により派遣契約を解除する場合には、次の措置をとることが派遣先の義務となります。(派遣契約時にこれらの措置についての明記も義務化)

・派遣労働者の新たな就業機会の確保

・休業手当などの支払いに要する費用の負担など

 

⑦有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換推進措置

派遣会社は、有期雇用の派遣労働者(雇用期間が通算1年以上)の希望に応じ、以下のいずれかの措置をとるよう努めなければなりません。

無期雇用の労働者として雇用する機会の提供

・紹介予定派遣の対象とすることで、派遣先での直接雇用を推進

無期雇用の労働者への転換を推進するための教育訓練などの実施

 

⑧派遣労働者が無期雇用労働者か否かを派遣先への通知事項に追加

派遣会社の義務
派遣労働者の賃金を決定する際、次について配慮しなければなりません。

派遣先で同種の業務に従事する労働者の賃金水準

派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力、経験など

・教育訓練や福利厚生などの均衡

 

派遣先の義務
派遣会社に対し、必要な情報を提供するなどの協力が求められます。

 

⑨労働契約申込みみなし制度(平成27年10月1日施行)

派遣先が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込み(直接雇用の申し込み)をしたものとみなします。

 

 

広範囲かつ細かな部分にわたり規制強化され、派遣元・先にとっては非常に厳しい改正内容となっています。力のない派遣会社は、淘汰されていくことになるでしょう。

これで本当に労働者保護になるのか、かなり疑問です…


社労士は選ぶ時代。

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コメント: 4
  • #1

    ピンパォン (月曜日, 27 8月 2012 14:31)

    お久しぶりです。先日さくらんぼをおねだりした者です。やっぱり本名はやめることにしました^^

    上記派遣法も大分厳しくなりましたね。ただ、あんまり厳しく・細かくすると、逆にどの規定に関しても中途半端になって、かえって効力が弱くなるんじゃないかって気もします。

    あとは、マージン率の情報開示義務化ってすごいっすよね^^;

  • #2

    tomono (火曜日, 28 8月 2012 00:16)

    お久しぶりです。
    そうですね、あれもこれもでしかも判断に迷う規定もあったりして、結果、実務では曖昧かつ誤解して運用される懸念があります。

    日雇い派遣禁止の例外なんて、正直判断基準がよく分からん。
    一体「副業」や「主たる生計者」って、どうやって判断するんだろう。

    マージン率の情報公開、確かにすごい。一体なんの目的?って感じです。
    不当なマージン率の是正でしょうか。

    いずれにせよ派遣会社のみならず、それに依存してきた企業や労働者にとっても非常に厳しい内容です。

    あと「ピンパォン」さんって言いづらいね…

  • #3

    ピンパォン (火曜日, 28 8月 2012 10:45)

    そうですね、企業や労働者にとっても、あんまりいい影響出ない気がしますよね。

    「ピンパォン」はサッカー選手の名前です。別にその選手のことはそんなに好きじゃないんですが、この名前が妙に気に入ってしまって^^

  • #4

    tomono (火曜日, 28 8月 2012 20:02)

    ピンパォン、今度チェックしてみます^^