先日、社労士会静岡支部主催の安西愈先生の研修に行ってきました。
安西先生は労働問題を取り扱う弁護士で、重鎮中の重鎮。我々の業界で知らなきゃモグリです。
ですから参加者も他支部からも相まって半端ない人数。
研修のテーマは「社労士として知っておくべき最近の企業の労務問題」。
全体的にはボリュームが多すぎて総花的。もう少し的を絞って欲しかったなぁ。もっと司法の現場の話を聴きたかったなぁ…
とはいっても勉強になった部分もいくつかありました。以下箇条書きで。
労働条件の不利益変更 | |
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賃金の引き下げ(いわゆる不利益変更)における労使の合意を争った例では、ほとんど会社が負けている。従って不利益変更よりも整理解雇の方が立証しやすい。但し時限立法(3年経過したら賃金を元に戻す等)なら話は別。 |
セクハラ | |
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セクハラは使用者が指針どおり十分対応していれば、使用者責任を免れる可能性が高い。(指針とは、セクハラ防止措置の規定化や周知、相談窓口の設置、セクハラが起きた場合の迅速措置等) |
パワハラ | |
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パワハラに関する損害賠償では、裁判官は「違法行為」か「不当行為」かで判断するのであって、パワハラという概念を認めることは少ない。 |
メンタルヘルス | |
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現在継続審議中の改正安衛法によると、メンタルヘルス対策として「事業者は医師又は保健師による精神的健康の状況を把握するための検査を行わなければならない」とし、「医師又は保健師は、予め当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない」 としている。 |
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メンタル異常に自覚のない労働者への対策として、事業者は職場環境整備義務や当該労働者への安全配慮義務があるので、業務命令として専門医に対する受診命令を発することになるが、これに関しては医師への受診命令を認めた判例がある。(受診命令しても構わない) |
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就業規則の休業事由に「従業員の心身上の問題等職場不適応状態が生じ第○○状に基づく医師への診断受診勧告に従わないとき」と規定するのがよい。 |
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休職中の従業員を復職させる、いわゆる「リハビリ出勤」における「試し出勤」は本来の出勤ではなく、復職には該当しない。(休職期間のままでの取り扱いでよい) |
名ばかり管理職問題 (管理監督者の定義) | |
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最近の菅野和夫氏(労働法の世界の超重鎮)によると、『「管理監督者」の定義の行政解釈のうち「経営者と一体の立場にある者」「事業主の経営に関する決定に参画し」については、これを企業全体の運営への関与を要すると誤解しているきらいがあった。 企業の経営者は管理職者に企業組織の部分ごとの管理を分担させつつ、それらを連携統合しているのであって、担当する組織部分について経営者の分身として経営者に代わって管理を行う立場にあることが「経営者と一体の立場」であると考えるべき』とのこと。 |
お見せします、新しい社労士像。追及します、顧客満足度。
トモノ社労士事務所
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