春闘が本格化しましたね。
連合は「賃上げによるデフレ脱却を」と力説しています。
この発言、とりあえずの決まり文句なのでしょうが、正直“?“です。
少なくとも私のクライアントのうち、賃上げ(定昇)できるところはそうそうありませんよ。
それくらい業績は横ばいがいいところ。賃上げしたとしても「我が社に残ってほしい優秀な人材」が対象です。
それが多くの中小企業の実態なんです。
また、仮に数%の賃上げをしたところで、本当にそれが消費に回るのかも大いに疑問です。
デフレ脱却には経済の立て直しが先の話で、賃上げはその後の話。
他方、今年4月から労働者本人が希望すれば老齢厚生年金の受給開始年齢まで、企業は雇用を約束しなくてはいけない「高年齢者雇用安定法」が施行されます。
いずれ訪れるであろう、65歳定年制への幕開けです。
これを機に、NTTは現役世代の人件費上昇を抑制する成果型の賃金制度を昨秋から導入したといいます。
40~50歳代を中心に賃金カーブの上昇を抑え、60歳から65歳の賃金原資を確保。これにより210~240万円だった60歳以上の年収を300~400万円に引き上げるようです。
また当法改正は、高齢者雇用や賃金だけに留まらず、若手社員の雇用にも影響するでしょう。
更に自民党は、来年度から平均給与を上げればその増加分の10%を法人税から減額する減税策を打ち出しました。
やらないよりはましなのでしょうが、これには課題が2つあります。
1つは、これによって本気で給与を上げようと思う企業は一体どれくらいあるのかということ。減税策はあくまでも時限的なものであり、一方、一度上げた賃金はそう簡単には下げられませんからね。
もう1つは「利益が出た企業しか恩恵を受けられない」ところ。これ決定的です。黒字企業って、確か20%くらいしかないはず。
ちなみに雇用増で法人減税となる「雇用促進税制」も然りです。
これらのさまざまな諸要素を含め、円安になってきたとはいえ依然先行き不透明な経済を背景に、各企業は今後、人事方針や雇用・賃金に至るまで、改めて見直しを迫られるのは必至でしょう。
労働力をどう保つのか、シニアをどう活かすのか、若手社員の採用・育成はどうするのか、技術継承はどうするのか、賃金原資をどう配分するのか、賃金カーブをどう描くのか、優秀な人材をどうつなぎとめるのか、納得性のある評価をどう実現するのか、再び成果主義に戻るのか…etc.
ちょっと考えただけでも、さまざまな課題が出てきますね。
さあ、これからが企業にとって過渡期・踏んばりどころです。
これらの課題に対して、総合的・大局的な見地からアドバイス・指導ができる、必要とされる仕事をしていきたいと改めて思いました。
お見せします、新しい社労士像。
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