あっせん~社労士としての役割

「あっせん」って知ってますか?

2/13静岡新聞より
2/13静岡新聞より

あっせん(ADR)とは労使紛争解決手段の1つです。

労使どちらかの(通常は労働者の)申し立てにより、あっせん委員が労使両当事者に和解案を模索・提示し、紛争の迅速な解決を図るというものです。手続きも通常1回(1日)で済み、料金も数千円で済みます。

ちなみに、労使当事者の代理人になれるのが「特定社労士」です。

 

申し立てに必ず応諾する必要もありませんし、和解しても法的拘束力はありませんが、裁判にでもなれば、相応の金銭的・精神的・肉体的負担がかかりますから、それを考えれば非常に画期的な制度なんです。

 

 

前置きが長くなりましたが、先日、そんなあっせんの実務的な話を聴く機会がありました。講師は、岐阜県社労士会あっせん委員の弁護士でした。

岐阜県会は、過去3年間で24件の申し立てがあり、うち19件が応諾、うち13件が和解しています。この数字、地方では目を見張る数字なんです。

 

岐阜県会の申し立て実績が伸びている理由として

・窓口対応が懇切丁寧

・労働相談コーナーで自信をもって積極的にADRを薦めている

・顧問社労士の存在

等が挙げられるとのことでした。

 

顧問社労士の存在とは、労働者からのあっせんの申し立てがあった場合、被申立人である会社側の顧問社労士が勧めているようです。

それは岐阜県会の高い和解率と、もし受けない場合は労働審判や裁判に持ち込まれる可能性があり、その方が大きな負担を負うからです。

 

また和解率が高い理由としても、顧問社労士が関係しているとのこと。

普段から信頼関係を結んでいる顧問社労士からの助言が功を奏するというのです。

 

そして驚いたのは、なんと同じくあっせん制度がある労働局や労働委員会の応諾率や和解率よりも高いとのこと。

講師の弁護士は、岐阜県会ADRの存在や活躍、役割を相当自負しているようでした。ん~羨ましいぞ岐阜県!

 

 

一方、本県はというと、残念ながらあっせん実績がかなり乏しく、明らかに出遅れ感ありありです…まさに保守的静岡と言ったところか()

案ずるより産むがやすし。是非とも本県としてADRをもっともっとPRしてもらい、積極的に係っていくべきだと思いました。

 

いずれにせよ今回の話により、あっせんに対する意識が大きく変わったのは事実です。

今までは、あっせんは前述のとおり労働者からの申し立てがほとんどであり、あっせんに関与するということは労働者側に立つということを意味するものだと思い込んでいました。(確かにそうなんですが)

これは普段会社側に立つ社労士にとって正直ジレンマで、そこが今一つ積極的に関わろうとしなかった理由だったんです。

 

しかし今回の話を聴いて、そのジレンマを払拭する自分なりのロジックができそうなんです。簡単に言えば「あっせんとは、結局両当事者のためにするもの」ということ。

それに気づいたことで、何と言うか目の前がパッと明るくなった感じです。

これこそ社労士としての役割だと、ちょっと心震えました^^

 

また、特定を取得しただそれだけで満足しつつあった自分に“喝!”です。目が覚めました。特定、持っているだけでは意味がない!

 

私も是非あっせんを通じ、世に貢献できる人間になりたいものです。

 

 

ちなみにこちらが静岡県会ADRのHPです。

何かお困りがありましたら是非こちらまで、或いは当事務所までご相談ください。


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