新人事制度説明会

先日、クライアント先で新人事制度導入に関する社員説明会を実施しました。

このクライアントは介護事業を営んでいるのですが、明確な経営理念があるにも関わらず、なかなか社員へ浸透しないというのが課題でした。

また賃金は社長の独断と偏見で決定、評価制度は全くなしという、典型的な中小企業のパターン。

 

そこで私は、経営理念の実現とモチベーション向上のための人事制度の導入を提案し、社長と何回か打ち合せを重ねてきました。

 

そしてようやく完成し、今回の説明会と相成ったのです。

シンプルでオリジナル性のある制度になったと自負しています。

例えば…

・賃金表(基本給)は各グレードの上限と下限だけ決定

・賞与を廃止しその原資を毎月のインセンティブにまわす

・他スタッフの良いところを見つけることを評価対象とする

 

 

事前に社長と軽くコンセンサスを図り、説明会に臨みました。

社長の挨拶の後、私が資料に基づいて丁寧にゆっくりと、そして全てをオープンにするつもりで説明しました。

 

拒否反応が出るであろう賞与廃止については、特にその理由・効果について入念に説明。毎月評価することにより評価者エラーがかなり抑制できる点、評価結果を直近の給与で払うため、モチベーションにつながる点などです。

 

割増手当や欠勤控除の計算方法の説明に至っては、初めて聴くような反応でした。まあ当然でしょう。そこまでオープンにする(できる)会社は稀ですから。

でもこれは裏を返せば、会社として後ろめたいことはしていませんよ、正しい処理をしていきますよ、ということを宣言することでもあるのです。

 

途中、ホワイトボードを使って「労働分配率」についても説明しました。

新制度を導入すれば、恐らく63%くらいになります。この数字は労働集約型の業種では、経営的に厳しい数字です。でもそれだけ会社として人件費を投じ経営努力をしていく、という宣言なのです。

私はこの説明を通じて、社員の方へ「目一杯企業努力をしている」という「誠意」を伝えたかったのです。ここまでやる社労士は稀でしょうか(笑)

 

説明会で大切なのは制度の表面的な話ではなく、会社としての誠意や目的を伝え、社員に希望と安心感をもってもらうことなのです。

 

 

評価制度については、社長自ら作成した渾身の「評価記入例」を元に社長が説明。

このように積極的に社長が関わっていただけると、本当に助かります。

私一人が盛り上がっていても仕方ありませんから(笑)

 

特に他スタッフを評価対象とする評価方法は初めての試みでもあり、非常に楽しみです。

誰でも同じ職場のメンバーから褒められれば嬉しいに決まってますし、やる気も出るはずです。職場の雰囲気も良くなってくれることを期待しています。

今後は、この評価制度に対する現場の声を定期的に聴きつつ、改善・発展させていくことを社員へ伝えました。

 

 

説明会も終盤になったところで、個人別の賃金明細を渡しました。

最初に渡してしまうと、自分の金額ばかりが気になり説明に集中できないからです(笑)

やはり皆さん、自分の給与がどうなるか真剣です。当然ですが。

そして最後に質問を少し受けて、無事終了。

 

 

私は、介護事業はそれだけで社会貢献だと思っています。

売上や利益を追求することが第一ではありません。そんなことを考えていたら介護などできません。やはり他の事業と同一視できないところがあります。

 

また良好な人間関係の維持が難しいという面もあります。その結果、社員の出入りが激しいのも介護事業の特徴です。

 

ですから介護事業の人事制度の在り方については、一般論をそのまま持ち込んでもうまくいかないのです。

測れもしない個人成績を無理やり数値化し、社員同士を競わせることは全くのナンセンスということです。

 

もちろん、新制度はこれらに配慮しています。

とはいえ、完璧なものがないのも人事制度。恐らくやり始めれば、いろいろと課題が見えてくるはずです。

大切なのは、運用であり定期的なメンテナンスです。そして「そもそもなぜこの制度を導入したのか?」という原点を常に忘れないことです。

全てはこれからなのです。


                  お見せします、新しい社労士像。

                  トモノ社労士事務所

                 静岡市駿河区中田本町13‐33‐403

            電話054‐202‐0385

 

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コメント: 4
  • #1

    ピンパォン (月曜日, 15 4月 2013 14:53)

    また新しい人事制度作ったんですね。前に言ってた「賞与制度廃止」も盛り込まれてますね。

    自分が前にいた中小も、社長の気分で給料が変わるような所でした。やっぱり社員って制度に合わせて働くようになるから、すごく大事ですよね。

    説明会お疲れ様でした。一度でいいから、三輪さんが実際に作った制度を見てみたいものです。(無理でしょうけどね)

  • #2

    tomono (火曜日, 16 4月 2013 12:50)

    はい、また作っちゃいました^^
    賞与原資はもっと有効活用できます。当たり前すぎてなかなか気づかないのでしょうね。

    そう、制度とは言ってみれば会社から社員に対する「求める人材像」のメッセージに他なりませんからね。大切です。

    制度はクライアントの大切な財産・機密事項ですので、お見せすることはできませんが、結局大切なのはいかにそれを運用できるかです。
    運用の話(ヒント)はまたいつでもお話しますよ^^

  • #3

    ピンパォン (水曜日, 17 4月 2013 15:45)

    「コンスタントに運用していく」っていうのと、「なるべくオープンにする」っていうのは、運営側(会社側)の負担がかなり大きいだろうから、新制度を導入するとなると、ここが一番大変そうですよね。

    またお話するの楽しみにしてます。もうあと1ヶ月くらいですね^^

  • #4

    tomono (金曜日, 19 4月 2013 11:56)

    確かに「運用」と「オープン」ができる会社って少ないでしょうね。
    でも隠すより誠実に説明した方がよほどマシなんですがね。

    ちなみにあと2ヵ月だよ(笑)