社員の独立は好きにさせるべし

経営者からよくこんな嘆きを聞きます。

「社員に独立されたら正直困るんだよねぇ。いて欲しい人材ほど独立していく…」

 

確かに。

やる気があって仕事ができる人ほど、自己実現欲も強く独立していき、そうでない人ほどいつまでも会社にしがみついている傾向はあるでしょうね。

 

特に「職人」気質が強い業界や専門性の高い業界などはそうでしょう。

我々の業界も然りです。

 

 

私は経営者にこう答えます。

「『独立されると困る、だから独立するなよ』と思うこと自体、ストレスになります。社員を雇っている間、ずっとそのストレスを抱えていくわけですよね。それって大変なことです。また、仕事にもいろいろと影響を及ぼします。

だったら考え方を変えてみるのも1つです。むしろ『独立したければど~ぞ』って。その方がよっぽど気持ち的に楽なはずです。

どんなに懸念したところで、独立する人は結局独立していきますよ。社長は独立する人の気持ちが1番よく分かるのではないでしょうか?」

「また思い切って独立支援制度を作るというのも1つのやり方です。従業員の目標意識、動機づけになりますよ。」

 

多くの経営者は納得します、話の半分は()

 

 

私事ですが、私が以前とある事業所に採用された際、最初にいきなり就業規則(競業避止義務規定)を見せつけられたことがあります。

競業避止義務とは簡単に言えば「在職中はもちろんのこと、退職後同業他社へ転職してはいけない、または同業の事業を営んではいけない」といった主旨のもの。

 

私は入社初日にいきなりそんなものを見せつけられ、結構モチベーションが下がった記憶があります。

「いやいや、これから御社のためにやる気をもって来たんでしょうが…何これ?ひょっとして最初から疑われてる?」って。

やはりそんな事業所でしたから人の扱いが非常に下手で、多くの従業員が出入りすることを目の当たりにしました。

私もご多分に漏れず早々転職してやりましたよ。もちろん、同業他社へ()「競業避止義務?ふざけんなって」。

 

 

人は「○○してはいけない」と一方的に管理・強要されると反発したくなる生き物です。

一方「ど~ぞ、やりたければ好きにやって下さい」って言われると、躊躇し真剣に考えるものです。

 

優秀な人材をずっと手元に置いておきたい経営者の気持ちはすごく分かりますが、所詮、中小企業。転職が当たり前の世界です。また、その人の人生でもあるのです。

 

考え方1つで随分と違ってくるものです。


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コメント: 2
  • #1

    ピンパォン (水曜日, 05 6月 2013 11:41)

    そうっすね。本当にそうですよね。

    でも、独立を認めるような考え方をすると、「じゃあ、あんまり育成に力を入れても仕方ないかなあ」なんて考えるようなパラドックスも生まれますよね。

    そういうのもなかなか育成が進まない一因になるんですかねえ。

  • #2

    tomono (水曜日, 05 6月 2013 17:24)

    はは、そのパラドックスはむしろ逆ですね。

    独立を後押しできる経営者ほど、人材育成の意識が高いんです。
    ちゃんと社員の”個”としての幸せを考えてあげられる、器の大きさがないと独立支援なんて発想は出てきません。

    逆に独立を懸念する経営者ほど問題です。
    なぜなら、技能のスキルやノウハウを出し惜しみするようになるからです。それこそ人材育成に抵触するわけです。

    でもそんなことをずっと続けてもストレスになるだけですし、結局独立する人は独立しちゃいますから。
    要するに独立を懸念すること自体、全てが無駄なんです。経営者は早く気付くべきでしょうね。