半沢直樹、面白かったですね。
相手が上司であろうが役員であろうが、冷静なブレインではっきり物申すその姿。常に部下や弱者の味方であり、裏切った同期さえも許すその心の広さ。ビジネスマンなら憧れちゃいますね。
つまらぬ権力争いや予期せぬ異動が常である組織の理不尽さもあるあるです。
私も新卒で入社し、同期と共に組織に揉まれていた20代の頃を思わず思い出しました。
しかしまさかのグループ会社への出向命令。
早くも次回作を期待させる結末ですが、これって原作通りなんですね。
さて大きなお世話と思いつつ、今回の半沢直樹に対する出向命令についての有効性について、ざっくりとですが考えてみたいと思います。(あ、別にドラマに水をさすつもりは全くありませんのであしからず)
まず在籍出向か転籍出向かについて考えてみます。
ドラマでは頻繁に出向を「片道切符」と称していたため、原則「出戻り」が前提としてある在籍出向と推測できます。同期の近藤も、最後は(血迷って)出戻っていますしね(笑)
では次に、在籍出向が成立するための主な要件をみてみます。
①本人の同意があるか
②出向命令権はあるか
③権利濫用でないか
では1つずつ検証してみましょう。
①半沢が出向命令に同意すれば出向は有効になりますが、拒否するとどうなるのでしょうか。
②判例によれば、出向に関する詳細な根拠規定があれば、原則、個別同意を得ずとも事業主側に出向命令権が存在するという傾向があります。
銀行では、出向を含めた転勤は日常茶飯事に行われるのが通常ですので、この場合、就業規則に根拠規定はあるものと推測します。
従って東京中央銀行は、就業規則の規定を、さらには入行時の労働契約(「将来異動することがある旨」)を根拠に、その有効性を主張してくるものと思われます。
さらに場合によっては、労働組合との出向に関する労使協定を根拠に主張してくる可能性も十分あります。
③ただし、いくら根拠規定があるからといっても、その出向命令が「権利濫用」であれば無効となる可能性があります。
労働契約法第14条には、出向についてこう規定されています。
『使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は無効とする。』
今回のドラマを見る限りにおいては、業務上の必要性や人選の合理性の有無についてまではよく分かりません。
ただし、半沢の数々の偉業(5億や120億の回収、大手取引先の再建、国税庁調査対応)を考慮すれば、例え部長に昇格したとしても、通常今回のような出向は考えにくいものです。
今回の出向命令が半沢の歯に衣着せぬ発言や態度に対する制裁だとしたら、それこそ嫌がらせによる出向と言え、権利濫用で無効となる可能性があります。
…って、ちょっとまじめに考えてみました(^^;
お見せします、新しい社労士像。
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