とある社長の悩み。
その社長の会社は、現在社員が欠勤しても「欠勤控除」していません。
いわゆる「完全月給制」で運用しているのが現状です。
最近、この会社の賃金制度や労務管理を見直しているのですが、社長曰く「余り休んで欲しくない」ということで、賃金制度に新たに「皆勤手当」を設けることにしました。
しかし検討を重ねていくうちに、社長の雲行きに変化が…欠勤控除をすると「有休申請」される懸念がある、というのです。
ちなみに、有休を取得したことを理由に不利益な取り扱いはできません(皆勤手当を不支給にすることはできません)。
しかも有休は消化しないと、アメーバのようにどんどん増えていきます。
このような有休にまつわる社長の悩み、よくありがちです。
今回のケースでは、結局今も欠勤しても全額払っているのだし、欠勤控除を導入することで有休申請されても、むしろ有休消化につながり会社にとって特にデメリットはないのでは?なんて私は社長に説明したのですが、どうも社長は腑に落ちない。
欠勤控除しなければ有休申請なし。
欠勤控除すれば有休申請あり。しかも有休取得でも皆勤手当は払う必要あり…
この板挟みで社長はかなり悩まれていました。
有休の計画的付与のご提案もしましたが、所詮これも限界があります。
ちなみに計画的付与とは、有休を計画的に消化できる制度です。各自が自由に使える有休を半ば強引に減らすことができるのです。
ただし労使協定が必要ですし、各自が所有する有休のうち5日分は各自が自由に使える有休として残しておく必要があります。
で結局社長はどうしたかといいますと、今後もしばらく欠勤控除なしでいくことに。
どうやら「有休について(社員が)意識してほしくない、話題に出してほしくない」という気持ちが強いようです。
ちなみに、有休は会社から積極的に与える必要は全くありません。労働者へ有休請求するよう促すことに関して、黙っていてもOK。
ただし私は、せめて賃金規程には「原則欠勤控除する」旨規定し周知すべきと判断。
なぜなら、もし何らかの理由で社員が長期欠勤した場合であっても、完全月給制ならば全額支給しなくてはいけないからです。
ですから規定上は前述のようにし、もしもの場合に備えることとし、あとは社員に説明し同意を得ることとしました。(労働条件の不利益変更なので各社員の同意が原則必要になる)
有休ってホント悩ましいですね。経営者泣かせです。
そもそも有休付与日数って、誰がどういった基準で決めたのでしょうかね。
労働者が6年半在籍すれば原則20日発生します。消化しなければ、最大20日+20日で40日でっせ!中小企業ではとても消化しきれません。
消化できる労働者もほとんどいないでしょう。
よく「日本は有休消化率が依然低い」って話題になりますよね。
そこで消化率を高める簡単な方法があります。それは、そもそも有休付与日数を今の半分に減らせばいいんです。
消化率もぐんと上がり、そして現実的な付与日数になります。一石二鳥^^
有休(の付与日数)は、中小企業の現実を全く理解していない、改正すべき労基法のルールの1つなんです。
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