理念の話

先日、ある経営者と経営理念について話す機会があった。

今後約1年をかけて、人事制度導入のお手伝いをさせて頂くことになった企業の社長だ。

 

まずは、社長に理念をヒアリングすることから始めた。

私の問いかけに社長はしばし沈黙。どうやら、今の理念がしっくりこないご様子だ。

そこで私は「理念だって、全然変えていいと思いますよ」と言うと、社長は少し気が楽になったようで、「そうだよね!」と笑顔になった。

 

理念と言えども「絶対」はないと思う。必要に応じて変えていけばいい。

 

 

理念をどんなメッセージに託すかは悩ましい。

必要に応じて変えてもいいとは言っても、そんなにコロコロ変えるものでもないから、言葉選びは当然に慎重にならざるを得ない。

私は、経営者の腹の中にある最も素直な気持ちが、最終的に最もいいメッセージになると思っている。

でもその素直な気持ちが一体何なのか、その気持ちを的確に表現するメッセージは何なんなのか、すぐには出てこない場合もある。そんな場合は、それが見えてくるまで熟考すればいい。

だから、今回のヒアリングで答えを急ぐことは避けた。

 

 

そして、最も難しいのが理念の社員周知だ。

理念は、社員からすれば往々にして経営者のエゴや押し付けになりがちだ。それに気づかない経営者は多い。

そこで社員の立場になって、理念を客観視することでヒントが見えてくる。

 

例えば、私は次のような方法を提案している。

・理念をテーマにして、社員同士で自由気ままに対話(ディスカッション)してもらう

・その対話から、「クレド」や「行動指針」を策定していく

・そのクレドや行動指針から、自分がすべき行動を全員の前で決意表明してもらう

 

周知する上で大切なのは、理念を「自分事」として捉えてもらうこと。それには、社員を巻き込むこと・社員に主体性を持たせることが効果的だ。

よく朝礼で全社員に理念を唱和させたり、理念が印刷された手帳を配布する手法が取られるが、果たしてそれが本当に功を奏するのか、私には疑問だ。

 

そして常日頃から、理念に沿った行動がどれだけとれるかも重要だ。

理念と行動が一致すればしめたもの。あとはそれを外部へ発信し、その理念に共感する社員を採用すればいい。(口にするのは容易いが)

 

 

さて、社長の願う理念を成し遂げるための人事制度を策定すべく、これからいろんなワクワクするようなアイデアを提案していこうと思う。それが当所の理念でもある。


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