最近、ある企業の人事制度の見直しに着手している。
ありがちなのが、経営者や人事担当者、そして我々外部コンサルタントといった当事者だけで盛り上がってしまうこと。
大抵机上論で話が進み、結果、自己満足で制度失敗に終わる。幾度となくこのような失敗例を見聞きしてきた。
今回、そうならないために社員を巻き込むプロジェクトの立ち上げを提案した。
すると社長からも担当者からも、一発返事で了承を得た。
プロジェクト名は、担当者の提案で「よくするプロジェクト」に決定。みんなで会社をもっと良くしようという思いが込められている。シンプルでいい名だ。
難しいことはやらない。
若手社員中心に有志を募集し、テーマにそって気軽に対話(グループディスカッション)してもらうだけだ。そこで出た生の声を制度設計に活かす。
とりあえず第一回目のテーマは「モチベーションが上がるとき・下がるとき」に決定。日程も決まった。
初回ということで、私がファシリテータ役を務める。当日は、気楽にお菓子や飲食をつつきながらやってもらうつもりだ。人数が集まれば「ワールドカフェ」方式もいい。
実はこのプロジェクト、人事制度に限らずさまざまな効果や狙いがある。
まず対話を深めるという行為が、お互いをより深く知ることになり、今後の業務を円滑にする。心理学で有名な「ジョハリの窓」ね。
更に自立型の人材を育てる。但しそのためには、ファシリテータは決して結論を押し付けてはいけない。対話を通じて自ら「気づき」を得ることに注力する。
また、将来リーダーとなるべく原石を見つけることができるかもしれないし、若手社員はこのような経験が今まで皆無だったため、いい刺激・経験にもなる。
管理職やリーダーに対してのアクションや配慮も必要だ。
若手社員だけに一生懸命にやると、その他の社員は「俺たちは関係ないのか」「何か勝手にやってるな」といった疎外感や嫉妬が生まれ、結果制度運用は上手くいかない。これは避けなくてはいけない。
なるべく多くの社員を巻き込み、他人事でなく自分事にしてもらうことが重要なのだ。
今回のプロジェクトは、自分自身の今までのさまざまな経験の集大成であり、神様からのプレゼントだと思っている。
これから約1年かけてプロジェクトは稼働していく。楽しみだ。
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