モチベーションに関する本の紹介。
同書は、よくあるビジネス書とは違い、教科書のようなちょっとお堅い内容となっている。
それもそのはず、筆者は東大の教育心理学卒という肩書の持ち主のようだ。
とは言え、モチベーション理論のポイントが分かりやすく解説されていて、更にマネジメントの場面でどう活用すべきか、抽象的ではあるがヒントが示されている。
筆者は、過去の心理学者が唱えたさまざまな理論に対して、時には疑問を投げかけ独自の理論を展開している。
これは、同書を読む上で最も価値ある点だと思う。
例えば、有名なハーズバーグの「動機づけ理論」。この中で「人間関係」は「衛生要因」に分類されている。
しかし、人との関係性を重視する日本人にとっては、その関係性が動機づけになることもありうると述べている。
「チームのために頑張ろう!」とか「○○さんに認めてもらうために努力するぞ!」といったものだ。
確かに日本人ならばこれはよく分かる。個を重視する欧米人とは違う。
「原因帰属理論」においては、モチベーションが高い人は仕事が失敗した場合の理由として「努力不足」と考える傾向があるが、この原因帰属に、筆者は更に「スキル不足やコンディション不足」を提起している。
ちなみに自分は「経験不足」というのもありだと思う。
「自己効力感」に深く関係する「健康なパーソナリティモデル」について、筆者は人は自ら成長を求めて自ら緊張状態を作り出し挑戦していくという持論を提起している。
これは、自分自身と重なることもあり共感した。
このように見ていくと、欧米人による理論(場合によっては半世紀以上も昔に提唱されている)が、果たして今日の我々日本人にそっくりそのまま当てはまるかどうかと言えば、正直疑問も出てきたりする。
いずれにせよ、リーダーや人事担当者であれば手元に置いておき、一度ならず何度も読み返す価値のある一冊だと思う。
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