池上彰の経済学講座 歴史編

池上彰氏による経済学の本。

同書は昨年、池上氏が愛知学院大学で開催した経済学の講義をそのまま活字にしたもの。

口語形式だから、読みやすくて分かりやすい。写真や注釈などもあって親切だ。そして何と言っても、歴史的観点から経済学を解説しているのがいい。

過去に何度か経済学の本にトライしたが、どれも教科書みたいな内容でつまらなく、結果途中でリタイアしたが、同書はそういうことは無かった(笑)

 

それにしても、経済学がこんなにも歴史上の重要な局面で大切な役割を担ってきた「生きた」学問だったとは。経済学の見方が変わった。

戦後GHQが勧めた内需拡大策や労働組合の設立から、最近の日銀による大胆な金融政策まで、全て経済学で説明できる。

日本はココだそうです。
日本はココだそうです。

東西冷戦時、アメリカが日本を「資本主義のショーウィンドウの役割」として利用していたという背景を知れば、当時の1ドル360円の固定相場制もなるほどなと理解できて面白い。

 

当たり前過ぎて忘れがちだが、今こうやって好き勝手に仕事ができたり、ブログが書けたりするのも、この国が資本主義、民主主義だからこそ。

もし戦後、旧ソ連が日本を占領していたらどうなっていたんだろう?

 

良くも悪くも、やっぱ日本はアメリカにおんぶにだっこなんだよな。

 

 

国や経済の発展には、豊かな中間層が必要であるというくだりは考えさせられる。

(先日のブログでも取り上げたが)中年のフリーターや非正規が増えているこの国には、もはや未来がないのだろうか?

経済学的に考えれば「格差社会」を解消すべく、今後は社会主義的な発想や施策が必要になるのだろうか?

 

 

経済学を学んだ人にとっては当たり前の内容なのかもしれないが、法学部出の自分には結構驚きの連続で、また読み返したいと思わせる本だ。

学生時代、「時間がない」といつも授業では飛ばされた戦後史も同時に学べてなおよい。


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