先日、沢根スプリング社へ企業視察に行った。
同社は浜松市郊外にある、社員50名ほどの中小企業だ。社名どおりバネを製造している。
同社は2014年「日本で一番大切にしたい会社大賞」において「中小企業庁長官賞」を受賞している。
席に着くと、今回のために参加者1名1名に気遣ったさまざまな「おもてなし」が。
沢根社長直々にお話いただいた。
ソフトな印象の方だ。
まず同社イメージソングDVDを拝聴。なんと全社員が出演。
会社を永続させ、社員の人生を大切にするという同社の経営理念が1曲に詰まっている。
必要以上に規模を大きくせず、「世界最速工場」を目指すという経営戦略の話も興味深かった。
取引先1社ごとの売上比を下げる、販売先の業種や地域のシェアを増やす、小口市場を拡大する等、あえて世の流れと逆をいくような戦術も全て理念や戦略のため。
更に職人を育てることにも尽力されている。「作り方」の差別化とは!
工場見学では、各職場のチームごとにパネルを使って分かりやすく説明していただいた。
チーム目標が経営戦略とヒモ付けられている。
こちらの「研削チーム」は、最速工場への高い意識を感じた。
経営戦略が社員へしっかり周知徹底されている。
人生を大切にするための取組として、例えば残業はほとんどなし、有休取得率81%、社員文集、沢根塾(週1回開催の社員同士の勉強会)、誕生日プレゼントなどなど。
「100年カレンダー」は、人生は有限であることに気づかされる。
6S活動が分かりやすく可視化されている。
他に、さまざまなプロジェクト活動や委員会を開催。
「評価制度運用状況表」は、評価や面談日が可視化されている。これはいいアイデアだ。
仕事柄、どうしてもこの辺りは気になる(笑)
同社はさまざまな書籍で紹介されている。
働くならこんな会社で働きたい。
直接社長に、人材採用について質問させていただいた。
最近は毎年1名しか採用していないそうだが、その理由がすごい。それは「社員が辞めないから」「勝手に採用して欲しいと人が来るから」。
人材難の時代にこんな会社があるとは!(まぁ、だから大賞に選ばれるのだろうが…)
経営理念だけでなく、経営戦略が明確でかつ理にかなっている(中小企業だからこその差別化に徹底的にこだわっている)こと、両者がちゃんと関連づけされていること、社員に周知されていることに深く感心した。
大賞に選ばれる会社は、どうも理念やビジョンばかりクローズアップされがちだが、それだけではないのだという当たり前のことを実感した。
理想論ばかり掲げても、会社が潰れてしまっては元も子もない。
最後に、沢根社長が考える「経営者の仕事」について記しておきたい。
・ビジョンを示す ・決定する ・職場環境を良くする ・先頭に立って仕事する
・会社を継続させる
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