本の紹介。
例えどんなに素晴らしい商品やサービス、アイデアがあったとしても、それをうまく世間にアピールできるかどうかっていうのは、また別の話だ。
同書は「効果的な伝え方」のアイデアが満載だ。
例えば販促チラシやHPの作成、プレゼンやコンペの資料作りなど、ビジネスの現場で大いに役立つだろう。
自分ならどう使えるのか考えながら、一気に読破した。
筆者は、効果的に伝えるには次の6つが重要だとしている。
・単純明快であること
・意外性があること
・具体的であること
・信頼性があること
・感情に訴えること
・物語性があること
それぞれにおいて、具体的で非常に興味深い事例をいくつも挙げ、そして納得できる根拠をちゃんと示している。
ここが同書の価値ある点であり、決して表面的でテクニック的な内容で終わるのでなく、安っぽさを感じさせない。
バーで出会った美女に誘われた男性が、ホテルの一室で目が覚めたら自分の腎臓が1つ盗まれていたという「臓器狩り」の話。
都市伝説が人々の記憶にいつまでも残り、語り継がれるのにはちゃんとした理由がある。
ケネディ大統領が語った「人類に月を」や、ソニー研究者が語った「ポケットに入るラジオを」など、明確で意外性のある言葉は「道標」となる。部下は、それさえ聞けば自分は何をすべきか・すべきでないかを判断できるのだ。
企業経営でいえば「事業方針」のようなものだろう。トップやリーダーは、部下が露頭に迷わないような具体的なメッセージを明確に示すべきなのだ。(逆に、誰も見向きもしないような、漠然とした経営理念ではほとんど意味がないことも、同書は教えてくれる)
とにかく「なるほど!」のオンパレードだ。
・統計や数字をそのまま使ってもうまく伝わらないことが多く、そこに「人間味」を加えるとよいこと
・(とかく我々のような専門家が陥りやすいのだが)難しい言葉を羅列しても相手は結局何も覚えていないこと
・(決して核心と関係ない事柄でも)具体的な描写をすれば相手の共感を得やすくなること
・相手を行動に移すには(マズローの自己実現論でいう)”底辺”の欲求だけでなく、相手のアイデンティティを満たす必要があること
…などなど、興味深いことを実際の事例をあげて教えてくれる。…って、さっきも言ったか。
正直に言うと、もっと早くにこの本に出会っておきたかった。
下手なマーケティングのセミナーをいくつも受講するくらいなら、同書を何度も読み返した方が絶対にいい。
自分の知識として定着するまで繰り返し読んで、是非、実務で活かしたい。僕にとって、間違いなく(仕事で本当に使える)5本の指に入る良書だ。
(ちなみに、末尾にある勝間和代の解説は単なる自慢話に過ぎず、同書唯一の汚点)
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