先日、菊川市にあるたこ満さんへ企業視察に行った。
同社は、本県西部中心に約20店舗を運営する、和洋菓子の製造販売会社だ。社員は女性中心に約350名いる。
中西部の人なら恐らく誰でも知っている、本県では有名な店で、先日、カンブリア宮殿でも紹介されたという。(失礼ながら、県外出身の僕は直前まで、てっきり「たこ焼き」を扱っている会社だとばかり思っていた…)
オリエンテーションが済むと工場見学。
地元の小学生も見学に来ていた。
地元遠州産の食材を生かすことにこだわっているという。本県は、質のよい農産物が豊富に栽培・採れる恵まれた土地柄だ。
続いて、平松相談役の講演が始まった。
昔は、社員の気になるところを注意してばかりいたそうで、ある時、とうとう社員から「もうついていけない」と「クーデター」を起こされたそうだ。
その時、考え方を180度変えたという。
毎日各店舗から報告される業務日誌は、どんな些細なことを書いてもOKで、相談役は全てに返事を書くそうだ。
このうちいくつかをピックアップして「デイリーニュース」として各店舗に返している。うまく情報の共有化が図られている。
同社には経営計画書があり、社員の目標が記載されている。
1ヵ月ごと、上司は部下に、社長は全社員にコメントを返すという。このような工夫が、経営理念の浸透に役立っているという。
また、現場の声に耳を傾けることはビジネスの基本だという。
相談役は、企業は「道徳と経済」が大切だという。
そのため、同社には挨拶や身だしなみから原価意識まで、約40項目もの「たこ満心得」というのがあり、それを元に教育指導しているという。
また4つの工場ごと独立採算する、いわゆる「アメーバ経営」を取り入れている。
働きやすい職場づくりのために、毎月、社員の区分関係なく意見を言える部署別ミーティングや委員会活動があったり、「ありがとうカード」を活用したり、社員旅行をしたりと、いろいろ工夫している。
面白いことに、ありがとうカードは複写式になっていて、メッセージを送った側はそれを自分の経営計画書に貼っていく。
相談役が「なぜ他の会社が『サンクスカードがなかなか浸透しない』と言うのか分からない」と言うくらい、同社は社員がお互いにカードを送ることが当然のことになっている。
「トップは、例え最初は一人でも毎日書き続けること」がコツのようだ。
合宿も含めた3ヵ月の新人社員教育には、入社2~3年目の先輩が交代でレクチャーするそうで、「前任者よりも」という気持ちが指導者のレベルを上げていくそうだ。
GWの合宿最終日は、お互い泣いて抱き合うくらい信頼関係が築かれるという。
6月に成果発表をするのだが、その際、新入社員の両親の手紙を読み上げるというサプライズも。
印象的だったのは、相談役自ら何度も「本当にいい会社になりました…」とおっしゃっていたこと。
それには10年かかったというが、なかなか言えるものではないよね。
普通、これだけの社員と店舗を抱えると、なかなか経営者の思いを浸透させることが難しいのだけれども、それができていることは驚きと称賛に値する。
社長や相談役の人柄と決断、そして家族的・アナログ的な経営手法が「いい会社」を築いてきた大きな要因だと感じた。
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