外国人労働者の正社員採用

今の入管法では、日本で外国人労働者を正社員で採用することは、ハードルが高い。

ただし日本人と同様に、外国人であっても、どんな仕事に就こうが、何時間働こうが基本OKという、就労制限がない在留資格が若干ある。

その1つが「定住者」だ。日系2世・3世、日本人の配偶者など、日本国籍は有しないが一定期間にわたり居住が認められている者だ。

 

意外なことに、静岡県はこの定住者が28,000人いて、全国で2番目に多いという。浜松など西部に多いのだが、中部や東部にもそれなりにいるらしい。

一方で、静岡県の外国人労働者のうち50%近くが、派遣や請負で就労しており、この割合も全国で2番目に高いそうだ。

 

本県には、外国人定住者という人材の宝の山がありながら、うまく活用できていないのが実態なのだ。

 

 

先日、定住外国人を採用し成功している、鈴与カーゴネットの話を聞きにいった。

同社は、この3年で6名のブラジル人を長距離ドライバーとして採用している。20代から30代の若手で、なんと全員が正社員採用だ。

 

運送業界におけるドライバーの高齢化・人材不足は深刻で、同社も御多分に漏れず苦労している。今の若者は、ルート配送や小型ドライバーを希望する人が多く、長距離を避ける傾向がある。

そこで考え方を広げ、外国人労働者の活用を考えたそうだ。

 

面白いのが求人。

外国人がよく集まる病院があるそうで、そこに求人を張り出せば、横のつながりが強い彼らは、フェイスブックなどSNSで一気にその情報を拡散するという。

 

当然、苦労もある。

漢字が読めないため、特に道路標識や伝票の読み方・内容について、最初にちゃんと教える必要がある。なるべくイレギュラーが少ない仕事を与える配慮も必要だ。

更に、大型ドライバーの免許取得や社宅貸与(家賃補助)、先輩社員の定期的な運転指導などの仕組みも欠かせない。

 

そして、6人が辞めることなく今でも仕事を続けている最大の理由は、やはり正社員採用ということだ。

実際に採用された外国人ドライバーの話を聞いたのだが、正社員になったおかげで、近い将来、日本で結婚し家を建てる夢ができたという。

それまでは派遣であったため、そんな夢などもてる余地がなかったという。

 

 

特段理由がない限り、正社員で採用された方がいいに決まっている。外国人とて同じだ。

時折、外国人労働者は「目先の賃金で職を変えやすい」「真面目に働かない」という話を耳にするが、実は非正規という雇用の不安定さが大きな要因になっているのかもしれない。


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