僕らの業界では、「行政協力」とか「委嘱」といって、行政業務の一部を請け負うことがある。
例えば、労働基準監督署の労働相談や年金事務所の年金相談、労働局の助成金審査などなど、他にも結構あったりする。
特に独立したばかりの人にとっては、経験も積めるしお金にもなるから願ったりかなったりだ。行政側も人を雇用するよりよほど安上がりのため、両者のニーズは一致する。
さて、今何かと話題になっている働き方改革の一環である「過重労働対策」。
時間外の上限ラインは、月平均60時間・最大100時間未満、年720時間あたりが落としどころになりそうだ。
また昨年から「カトク」と言って、月100時間(今年から80時間)を超える時間外をする事業所を集中的に監督指導する専門の監督官を一部配置した。例の電通事件もこれによる。
今年から各都道府県の労働局にも配置したらしいが、わずか1名ずつというから、その実効性は疑問だ。
そんな監督官不足の中、政府では長時間労働などの監視のための企業への立ち入り検査業務の一部を、我々社労士に委託しようという案が浮上している。(厚労省は難色を示しているようだが)
過去に、警察官の駐禁取締り業務を民間の「駐車監視員」(通称”緑のおじさん”と言うらしい)に委託したときのイメージのようだ。そうなると、今までの行政協力よりももっと強い権限が付与されるのだろうか。
先日、この話題が同業者の中で出たのだが、
「どれくらいの権限が委譲されるのだろうか?」
「臨検できるならやりたい!」
「いくらもらえるんだろうか?」
「労働保険の年度更新みたいに安かったらやらない」
などと、皆好き勝手な反応だった(笑)
本気で過重労働を撲滅したいなら、一定の権限と報酬を与えるべきだと思う。
運転者が、街中で”緑のおじさん”に駐禁で捕まらないよう細心の注意を払って行動するように、僕らが委託されるなら、企業にとっての"緑のおじさん"になれない限り、ほとんど効果がない気がする。
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