最近、助成金に関わる被害が増えているという。
我々の全国組織である全国社会保険労務士連合会から、注意喚起するようお達しがきた。
確かに最近、クライアント先から、見知らぬ業者から助成金営業のFAXや電話が来た旨の話をよく聞く。
例えば、セミナーと抱き合わせの助成金営業。「セミナー料金を払っても、助成金活用でお釣りがきます!」「助成金の申請は当方でやります!」が常套句だ。
HP作成と抱き合わせのパターンもある。「HP作成費用が助成金でまかなえます!」といったようなうたい文句だ。
実際、最近クライアントになった顧客が、この手の話にのったはいいが、未だなしの礫だという。
しかしまぁ業者というものは、あの手この手でよく考えるもんだ。
助成金や補助金に群がり、そのおこぼれをもらって儲けようとする様はハイエナのように映る。
社労士でないものは、厚労省関係の助成金を申請代行して報酬を得ることはできない。業者はそれくらいのことは知っているから、どこかの社労士と提携している。
業者はあくまで営業に徹し、助成金申請は提携社労士に回す。社労士はいわば下請けのような存在になっている。
では根本的に、社労士としてこのような提携行為は問題ないのだろうか。
実は、社労士法には「非社労士との提携の禁止」というのがある。常態的に同法「業務の制限」に違反する業者からあっせんを受けたり、それらの業者にキックバックをすると問題となる。依頼者の利益を損なう危険があるからだ。
助成金申請に限らず、社保手続き代行も同様だ。
ちなみに、この手の営業電話は時々ある。「今、静岡市内で1件だけ提携先を探していまして…」が常套句。もちろん、興味ゼロだから速攻で断る。
万が一、提携することを考えてみても、知らない顧客を紹介されるわけだから、いろいろ調べなくてはいけない。例えば、ちゃんと出勤簿や賃金台帳は整備されているか・残業代が正しく払われているか・諸規程や労働条件の整合性はとれているかなどなど。
これらの調査にかかる労力やリスクを考えただけでも、とても提携しようという気にはなれない。
助成金は、普段から労務管理を通じて実情をよく把握しているクライアントだからこそ、安心して提案できるものだと思う。