先日、少しユニークなセミナーを受講した。
ロックの歴史とそれぞれの時代の人々の心に与えた影響について、2回にわたって探ろうというもの。
洋楽ロックで育った僕にとっては、受講しない理由が見当たらない(笑)
講師は、心理カウンセラーでもある静岡大学の太田准教授。
自身バンドを組んでいたということで、動画だけに留まらず、時折ギター演奏を交えて解説していただいた。
まずはロックのルーツであり、100年の歴史があるブルーズの話から。
ブルーズは、心理学的に「奴隷たちの憂鬱・抑うつの音楽」らしい。なるほど。
1950年代中期になると、ブルーズ(抑うつ)からロック(攻撃性)へ移っていく。
人は誰しも「内向きの攻撃性」と「外向きの攻撃性」をもっていて、それがどちらかに偏りすぎると危険という。
前者は、抑うつや自傷行為、自殺に、後者は暴力や殺人、戦争につながる。
ちなみに日本の若者は内向きの攻撃性の方が高く、世界的にみて珍しいとのこと。
60年代になると、ストーンズやツェッペリン、クラプトンなどイギリスの若手ミュージシャンがこぞってブルーズをリスペクトし、何ら抵抗なく自らの音楽に取り入れていった。それは、イギリスには奴隷制がなかったからだという。
な・る・ほ・ど!長年の謎が一瞬のうちに解けた(笑)でも意外とそんなことなのか。
公民権運動やベトナム戦争反対などを背景に、ロックは破壊衝動という表現に移っていく。
天才ギタリスト、ジミ・ヘンドリックスがライブでストラトを燃やし破壊したシーンはあまりにも有名。
当時のフォークソングも、人種差別や反戦などのプロテスタントソングとして歌われることが多かった。ボブ・ディランが有名だ。
40万人の聴衆が集まったウッドストック。
当時は「裸=武器を持たない・平和の象徴」という価値観の下、レノンとヨーコみたく裸でパフォーマンスしたり、観客も裸でライブ観戦したという。
今ではとても考えられない。
60年代は、ドラッグによって人間の精神を開放しようという「人間潜在力運動」が、ヒッピー文化と同調して広がっていったという。
当時、LSDはポジティブなものとして扱われたり、サイケデリックロックなるものが登場したり。
いつか観たイージーライダーの世界だ。ぶっ飛んでるぅ~
ブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソンなどドラッグやアルコールによって、若くして命を絶たれたミュージシャンも結構いた。
今回は、ロックのルーツであるブルーズの時代、ロックが誕生した50年代、ロックが攻撃性をもつようになった60年代の話が中心だった。
リアルタイムで知らない僕からすれば、特に60年代はあまりにもエグ過ぎるが(笑)、「歌は世につれ、世は歌につれ」と言われるように、それだけ人もロックも熱い時代だったのだ。