来春卒業の大学生の内定率は、既に8割を超えたそうだ。
人手不足で、今まで中途採用しかしてこなかった中小企業が、新卒採用に踏み切るケースが増えている。
新卒採用はますます"早い者勝ち"の様相を呈していて、多くの企業では既に6月までに内定(内々定)を出している。経団連の採用指針は絵空事になりつつある。
以前も当ブログで書いたが、通年就活・通年採活を全面的に認めて、学生が卒業見込みを取れた段階で内定を出す仕組みにするのが1番いいと思っている。
さて、そんな超売り手市場の中、いくつも内定を取る学生がいれば、逆に全く内定を取れない学生がいるのも事実だ。
では、なぜ学生によってそのような違いが出るのだろうか?同書は、そんな疑問をアンケート結果から読み解こうとしたものだ。
「小中学校の頃、父親とよく話したか?」との問いに対して、内定を3つ以上獲得した学生は「よく話した」「普通に話した」合わせて72%、内定0の学生は59%だった。
更に「小中学校の頃、祖父母と仲が良かったか?」との問いには、内定を3つ以上獲得した学生は「仲が良かった」が68%、内定0の学生は52%だった。
確かに、面接では自分の父親や祖父母くらいの年齢の人間と話すのだから、普段から父親や祖父との会話やコミュニケーションが多いほど面接がうまくいくのは当然と言えば当然だ。ただそうなると、シングルマザー世帯の学生ほど面接では不利になるということになる。
「小学生の頃、どんな習い事をしていたか?」の問いに対しては、内定を3つ以上獲得した学生のうち「野球」は13%、「サッカー」は21%の人がやっていた。一方、内定0の学生は「野球」は3%、「サッカー」は8%の人しかやっていなかった。
特に団体スポーツの経験は、面接における高ポイント要素だ。組織・仕事はチームプレーだし、仕事の成果(勝敗)にこだわりをもつことも重要だ。例え成果が出なかったり失敗しても、折れにくいメンタルは大切だしね。僕は前職での新卒の面接において、この要素を重要視していた。
そのほか、人前で話すのが好きな学生やクラス委員に積極的に参加した学生、ファッションに興味がある学生ほど内定を獲得しやすいという結果が出ている。
一方で、母親が専業主婦の学生や自営業でなくサラリーマン家庭で育った学生、自身が第二子である学生ほど内定が獲得しにくいという結果が出ている。残念ながら、これらは自助努力ではどうしようもできないが。
筆者は、就活は親のしつけのゴール・集大成と位置づけ、アンケート結果を踏まえた上で、就活を成功したければ幼少期の頃から就活を意識したしつけ・教育が大切だと結論付けている。
ただ、転職で天職につき(←シャレか)起業した僕からすれば、違和感を覚える部分もある。内定も大事だが、実際は就職してからの方が(社会に出て自律して生きていくことの方が)よっぽど重要であり、就活はそんなに大騒ぎするものではない。そういうことをちゃんと教えられる親や大人がどれくらいいるのだろうか。
心配性で過干渉な親にとっては、少しは参考になる本かもしれない。