ドライバーの賃金

現在、運送業を営むクライアントの賃金制度の見直しに着手している。

ドライバーの賃金制度設計は、定石が通用しないところがいくつかある。(そこがまた面白いところだけどね)

 

長距離ドライバーになると、どうしても長時間労働になる。賃金の逆転現象を防止する意味でも、10万円ほどの固定残業代を設定することも珍しくない。

ドライバーの賃金設計は、まずは残業代ありきなのだ。

 

残りの原資を基本給や手当、インセンティブに配分することになるのだが、残業代で多くの原資をもっていかれるため、なかなか頭が痛い。

ドライバーの賃金設計は自由度が高くない。

 

基本給については、一般的に一律で設定することが多い。例えば全員15万円とか。

一見シンプルだが、そうなると永遠に昇給はしない。そもそも等級という概念がない。たくさん稼ぎたければたくさん働き、インセンティブで稼ぐしかないのだ。

ドライバーの賃金設計は、昇給(等級や評価)という考え方が乏しい。

 

残業代やインセンティブに留まらず、ドライバーの基本給の在り方は、議論を重ねるべく重要ポイントだ。

特に今の若い人に訴求するには、将来の自分のキャリアをどれだけイメージさせることができるかがカギになる。そうなると、全く昇給しない賃金ってどう映るのだろうか…

 

 

今着手しているクライアントは、ドライバーにも等級制度を導入しようということで話を進めている。

同時に、評価制度を導入し、フィードバック結果を手当や昇給に反映させる。安全運転や残業時間削減など評価項目を絞り、かつなるべく数字などで客観的に評価できるよう工夫している。

背景には、若い人材を採用・育成していきたいとの経営者の思いがある。

 

「昇給なし・インセンティブで稼げばいい」という風潮がある旧態依然のドライバー賃金に、(ちょっと大げさに言うと)一石を投じてみたいという思いもある。


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