先日、法政大学の坂本光司先生の講演を聴きに行った。
坂本先生は、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の発起人であり、関連する書籍もたくさん執筆されている。
先生曰く、「いい会社」とは「会社に関係する全ての人々を幸せにしている会社」をいう。
トヨタやユニクロのような日本を代表する大企業であっても、リストラをするような企業は、先生は断じて認めない。
先生は、今まで国内外8000社もの企業を視察された中で、いい会社は10社に1社ほどだという。
そのいい会社に共通することが、大賞の一次審査基準となっている。
例えば…
・正社員の転職的離職率は3%以下
・1ヵ月の残業時間は一人10時間以下
・有休取得率は70%以上
・毎月、決算内容を全社員へ公開
・全社員に占める派遣社員の割合は10%以下
・育休取得率は80%以上
・定年は66歳以上
・体系的な社員育成制度がある
・独自の福利厚生制度がある
・社員やその家族のメモリアルデイにお祝いをする
・代金の決済は100%現金払い
・代金の締め後の支払いは20日以内
・過去2~3年、新規顧客が増えている
・毎年、社員意識調査を実施
・障害者の雇用率は2.5%以上
・障害者施設から商品やサービスを購入している
・非正規社員の賃金を毎年アップ
・本業以外の社会貢献活動を2つ以上実施
・経営計画書は毎年全社員で策定し、発表会を実施
・自己資本比率は50%以上
・売上高営業利益率は3%以上
・教育訓練や研究開発など未来経費に売上高の1%以上投資
・後継者がいる などなど
一次審査基準は全部で50個あり、多くは社内(社員)に向けたものだ。いい会社にするには、まずは社員満足度が高くなければならない、という考え方だ。
ちなみに大賞を受賞するような企業は、50個のうち最低半分はクリアしているそうだ。
先生の話は、いつ聴いても終始一貫されている。
・会社の目的は、関係する全ての人々を幸せにすることである
・派遣社員や取引先は「社外社員」であって、社外社員の幸せも考える必要がある(従って、一方的なコストダウンなどはもってのほか)
・中小零細企業など、障害者の直接雇用が難しければ、間接雇用(障害者施設から商品やサービスを購入)するべき
・社員の働きがいとは次の5つ。例え①が難しくても、②~④はどんな会社や業種でもできることであり、社員のモチベーションを上げることは可能である。
①やりがいのある仕事
②会社の魅力
③いい仲間がいる
④いい上司や経営者がいる
⑤いい家庭がある
・いい会社の経営者に共通することは、今までたくさんの涙を流してきたこと
時に熱く、時に厳しく、時に淡々と話される姿に、いつもながら聴き入ってしまう。同時に、世の中にはいい会社が少なからず存在することを実例をもって示していただけるから、希望が湧いてくる。
いい会社とは何か、いい経営とは何か、働くこととは何か、考えさせられる。