名画の紹介。
「情婦」。1957年製作のいわゆる法廷モノ。
敏腕老弁護士(この人がまたいい味してんだ)の冴えた法廷でのやりとり、一癖ありそうな依頼人と謎の妻、そして最後まで結末が予測できないストーリー展開が、観る者を飽きさせない。
衝撃のラストシーンは、映画史上に残る名シーンと言っていいだろう。
凄いストーリーだと思ったら、原作はアガサ・クリスティーだった。監督は「アパートの鍵貸します」のビリー・ワイルダー。そりゃ面白いに決まっている。
冷酷な魔性の女を演じるマレーネ・デートリッヒの演技力の凄いこと凄いこと。後半、観る者はまんまと騙されることになるが、その事実を知った時の衝撃たるや。
最後は、老弁護士に毛嫌いされていた看護師がウィットなジョークで切り返し、とうとう老弁護士に受け入れられるシーンで幕が閉じる。
持論だけど、いい映画っていうのは余韻が残るんだよね。
ちなみに情婦って「内縁の妻」という意味だそうな。ずっと「娼婦」的なものだと勘違いしていた。それもこれも、このセンスのないジャケットのせいだと思っている。名画故にこのジャケはもったいない。