今、特に介護業界では人材不足が深刻だ。
地元のハローワークには、独自に調査・公表している「業種別有効求人倍率」というものがある。それによると、ここ最近の介護業界の同倍率は、なんと11倍にのぼる。
介護の仕事を希望する求職者1名に対して、実に11社が奪い合いをしているという状況だ。これじゃあ、いくら求人出してもエントリーさえないのもうなずけるわ。
でもそんな中、最近、効果的な求人で採用に成功したクライアントがいる。
その求人は、求職者が働きたい時間・働きたい日を最優先し、休憩を取る取らないも自由という内容で、主なターゲットは主婦層。更に掲載した写真も、通常、介護業界の求人では見られないようなフランクなものにした。
その結果、3週間で電話での問い合わせは20件以上、面接は約15人、採用は8名に至った。(当該求人誌の担当者も、介護業界でここまで効果的な求人は初めてだとのこと)
また、「派遣でもやろうかな」と冗談が出るほど人材が潤沢な、別のクライアントもいる。
その社長は、そもそも介護業界では仕事の差がつきにくいということもあり、「正社員」とか「パート(非正規)」といった考え方・概念がない。(僕が提唱する「正社員不要論」と同じ考え方だ)
だから、特にフルタイム働ける社員にこだわっていなく、実際、社員の多くが短時間労働者だ。その内訳はというと、親と同居している若年者・夫の扶養範囲内で働きたい主婦・年金をもらっているシニアに大別される。
短時間働きたいというニーズは増えていて、うまくそのニーズに合致した働かせ方を提供できている。
一方、人材不足に悩むクライアントもいる。
そこは、基本的にフルタイムで働く人がほとんどだ。利用者の送迎もあるため、毎日多少の時間外労働が発生することが常態化している。
その社長に前述の話をしたところ、社員区分の見直しや短時間勤務の導入について、シフトの複雑化は否めないが、それ以上にその必要性を感じた様子だった。
普段、僕は人材セミナーなどで「非正規や制約社員、女性、シニア層などは今後増え続け、そこに人材は眠っている」「『正社員でないとダメ』『フルタイムでないとダメ』『残業できないとダメ』といったダメダメづくしの考え方では、今後ますます人材は集まらず、定着しづらくなっていく」と繰り返し説明している。
いよいよそれが、現実味を帯びてきた感じがする。