今回は、テキサスの稲妻頑固オヤジこと、ライトニン・ホプキンスのアルバムを紹介。
ライトニン・ホプキンスは、ブルーズ好きの間では人気がある有名なブルーズマン。
見た目は田舎のおっちゃんだが、泥臭い雰囲気と凄みのあるボーカル、キレキレのギター、唯一無二の存在感など、例えブルーズを聴いたことがない人でも、「おおっ、こ、これがブルーズなのか!?」なんて、ある種の衝撃と共に、ブルーズの真髄が感じられるであろうレジェンドだ。
今回紹介するアルバム「モジョ・ハンド」(1960年)は、そんな彼の代表作と言ってもいい。
特にスローブルーズの「Glory Bee」「Santa」は雰囲気たっぷりで、ギターソロのキレの良さと相まって、聴くたびにシビレてしまう。
リズムや”間”の取り方、絶妙な合いの手、そして泥臭さ。こういったものは、白人が同じようにやっても無理だし、ましてや日本人には絶対不可能。バスケが黒人のためのスポーツであるのと同じように、ブルーズもまた黒人のための音楽なのだ。僕らがやっても、しょせん底辺の真似事に過ぎない。
ライトニンのギタープレイには、アイデアやバリエーションが豊富に詰まっている。これは、あまたいるブルーズマンの中でもトップクラスではないだろうか(たいがいワンパターンね)。ギター好きとしては参考になったりする。
1曲中に2回ソロを弾くことも珍しくなく、やはりこの人、ソロに自信をもっていたんだろうな。
ただでさえブルーズって、リズム(「♪・♪」「♪・♪」「♪・♪」「♪・♪」=「タッタ」「タッタ」「タッタ」「タッタ」と跳ねるリズム。「シャッフル」とか「三連中抜き」という)やコード進行がワンパターンで飽きやすいのに、ソロやフレーズもワンパターンとくれば、長く聴くには正直きつい(例えばジミー・リードとか)。
そう意味でも、ライトニンはずっと聴いていられる。
「なんだって?ブルーズがどんな音楽か知りたいって?ふん、とにかく四の五の言わずに黙って聴きな!…泣く子も黙るぜぇ(笑)」