最低賃金がまた3%上がる。
政府が今年6月に発表した骨太の方針では「毎年最低賃金については、年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく。これにより、全国加重平均が1000 円になることを目指す」とちゃっかり明記されている。
東京や神奈川では、ほぼ間違いなく来年1000円を突破する。静岡県もこのペースだと、あと5年くらいで1000円前後に到達する計算になる。
企業は利益を3%上げ続けるのも難しいのに、最賃だけいとも簡単に上がっていく。困ったもんだ。
最近、普段の業務を通じてよく感じることがある。
それは、「非正規のままでいい」という労働者が実に多いということだ。
会社は人材不足もあって、少しでもいい人材がいれば、それがパートであろうがアルバイトであろうが、或いは派遣社員であろうが、正社員雇用を打診する。でも、当の本人がそれを拒むという話をあちこちで耳にする。
理由としては、若年層は「束縛されたくない・自由でいたい」「責任をしょいたくない」「実家暮らしでガツガツ働く必要がない」、主婦層は「夫の扶養範囲内で働きたい」、シニア層は「年金もらっているからガツガツ働く必要がない」といったところだ。
いくら働き方の多様性を認めようと言っても、シニア層はともかく、これではあまりにも労働力の非活用でもったいない。若年層には意識改革が、主婦層には制度改革が必要だろう。
今後、最賃はどんどん上がり続け、同一労働同一賃金の名の下に、正規と非正規の賃金格差は縮小していくことが予想される。
そうなると、「非正規のままでも賃金が上がっていく」ということで、ますます「非正規のままでいい」と正社員になりたがらない人たちが増えていく気がする。そういったことを踏まえて、企業は人材マネジメントを考えていく必要がある。