今回は洋画の紹介。
「奇跡の人」(1962年)。
生まれて間もなく三重苦(見えない・話せない・聞こえない)になったヘレン・ケラーの幼少期を描いた伝記作品。
60年代の作品だが、あえてモノクロにこだわっているのは、ヘレン・ケラーの世界観を出すためだろう。
奇跡の人と聞くと、ヘレン・ケラーを思い出す人が多いと思う。
僕も最初はそう思っていた。この映画を観るまでは。
でもこの映画では、(タイトルが「The Miracle Worker」とあるように)奇跡の人とは彼女に辛抱強く言葉と生きる意味を教え、闇の中から彼女を救い出したサリバン先生のことを言うようだ。まぁ、どっちも奇跡の人だけどね。
食卓での二人の壮絶なやりとりは、脳裏に焼き付く名シーンだ。
何度も何度もスプーンで食事をさせようと試みるサリバンとそれを本能のまま拒絶するヘレン。お互いがヒートアップし食卓は修羅場と化す。それでも最後は、力づくでサリバンが教師の意地と執念を見せる。
息をのむシーンとは、まさにこのことを言うんだろうね。
そして、感動のラストシーン。
ある日、ヘレンが水汲み場で水に触れていると、ふと何かに気づく。それは「モノには名前がある」ということ。それを悟った瞬間、「ワーラァ、ワーラァ…」と声なき声を絞り出す。サリバンを指さし「Teacher?」と指文字で確認する。ヘレンの手を頬にあて、何度もうなずくサリバン…闇の中から一気に解放された瞬間、思わず泣けてしまった。しかも大泣き(笑)ずっと誰にも言えずに辛かったんだろうな…
90分ほどの映画だがあっという間で、続編を作って欲しいくらい。そんな見ごたえのある感動作品。