最近は、クライアントに働き方改革関連法の説明をしている。
その中で、同一労働同一賃金については、主に次のようなことを説明している。
・パートタイム労働法が「パートタイム・有期雇用労働法」に変わる。
・有期契約労働者や派遣社員も対象になる。
・均衡待遇規定と均等待遇規定の内容。
・同一労働同一賃金ガイドライン案の内容。
・待遇に関する説明が義務化される。
・行政指導やADRの対象になる。
今後完成されるガイドライン案の内容は、経営者にとっては厳しいものだ。
ざっくり言えば「仕事に関係ない賃金ほど正社員も非正規も同じ基準で払うこと」が求められる時代になったということ。ガイドラインは法的拘束力は無いが、最高裁判例を参考に策定されているし、今後裁判にも影響を及ぼす可能性があるとも指摘されているから無視もできない。
リスクを回避しつつ、もし正社員と非正規の賃金に差をつけたければ、せいぜい基本給や賞与を利用するしか”逃げ道”がない。
もちろんその算定は、勤続年数や年齢、或いは業績といった定量的な要素ではなく、あくまでも「能力」というグレーな要素だ。
このような話を経営者としていると、結局こういうオチになる。
「良かれと思って払っている手当が、かえってリスクを生むぐらいだったら、いっそ給与は基本給一本でいいんじゃないの?」と。
同一労働同一賃金を機に、賃金制度や評価制度を見直そうという動きは出てくるだろう。制度設計をするにあたり、同一労働同一賃金という新たなリスクを念頭に行う必要がある。
果たして本当に基本給一本でいいかどうかは別として、法律が厳しくなれば、そういった発想が出てきても何ら不思議ではない。