今年もあとわずか。
今年を振り返り、自分なりに総括してみよう。
ハラスメントは、今年はスポーツ界や政界、芸能界など、ずっと話題に事欠かなかった。
それもあってか、(どれくらい意義があることなのかよく分からないが)パワハラを法的に定義づけようという動きがある。
一方、今は何でもすぐにハラスメントと言えばよい、みたいな風潮があり、言ったもん勝ちみたいなところがある。
誰もがコミュニケーションをとることに臆病になっている。本当に生きにくい時代になってきた。
人間より、AIやロボットを相手にしていた方がよほど気楽かもしれないが(笑)、ますますアサーティブな対話やアンガーマネジメントなど、コミュニケーション能力や自己コントロール能力が求められる時代になってきた。
外国人労働者については、来年度から新しい在留資格「特定技能」が始まる。
世間(野党やメディア)は「移民政策だ」と騒いでいるけど、業種や期間、人数は制限されるし、35万人増やしたところで、全人口のうち外国人労働者が占める割合は1.3%程度に過ぎない。
現行の技能実習制度は、母国発展という大義名分は既にとっくに吹っ飛んでいて、労使共に労働力というニーズでマッチングしているのが現状。
そんな現状と現場の人手不足を鑑みれば、単純的労働の就労目的という方針に舵を切ったことは、当然というかむしろ遅いくらいだ。
賛否両論あるのは承知だが、どちらにせよ中長期的に見れば、外国人労働者を採りたくても採れない時代が来るだろう。
アジア近隣諸国では最賃が高騰し、既に日本より待遇がいい国もある。わざわざ日本語という高いハードルを乗り越えてまで、日本を選択する理由は限りなく減っていく。
そして何と言っても日本に次いで少子高齢化で労働力不足になる中国の存在だ。恐らく、えげつない手を使って外国人労働者をがっさり奪っていくのだろう。
人手不足をAIやロボットで代替できればいいのだろうが、例えば介護のような感情労働はそう簡単にはいかない。
政府は処遇改善加算で業界全体の賃金水準を引き上げ、人員を確保しようとしているが、それも限界がある。
この先、外国人労働者に依存しなければ成り立たない業種があるのも事実なのだ。
今年は働き方改革関連法が成立したが、その中で、同一労働同一賃金に関する注目すべき判例がいくつか出た。
中小企業への改正パート有期法の適用は再来年からだが、判例やガイドラインをベースに、今から対策を考えていく必要がある。
言葉が独り歩きし、世間の誤解を招くことは労働法の世界ではよくあることだが、「同一労働同一賃金」も然り。「同じ仕事なら同じ賃金を払う=違う仕事なら同じ賃金でなくてよい」といった安易な発想に陥りやすいが、これは正しくない。
正規と非正規の賃金格差が不合理か否かは、基本給や諸手当それぞれについて、その性質や目的に鑑みて見極める必要がある。その際、必ずしも3要素(①職務の内容や責任 ②異動の範囲 ③その他)全てを考慮するのではない。
実は多くの賃金や諸手当について、①②を考慮することは稀だ。①が直接関係するのは、職務に関連する形で設計されている基本給くらいなのだ。
ちなみに僕は(当ブログで時折触れてきたが)、正社員や非正規を区分すること自体がナンセンスだと思っている「正社員不要論」支持者だが、このような考え方に立てば、そもそも同一労働同一賃金の問題は起こらない。
賃金はあくまでも、①仕事の難易度 ②能力や貢献度 ③労働時間 の3つで決めればよいだけだ。
いずれにせよ、働き方改革関連法は企業にとって負担が増えることばかりで、真の働き方改革につながるとは到底思えない。
人材や価値観、ライフスタイルが多様化する中で、人材を集め定着させるにはどんな働き方・働かせ方がよいのか?人が増えない中で、長時間労働を減らし生産性を上げるにはどんな働き方・働かせ方がよいのか?
まずは経営者が、その問いに対して明確なビジョンを掲げること。それが真の働き方改革の第一歩になる。
自分の仕事を振り返ると、今年はいろんな企業へ出向き、コンサルティングさせてもらう機会を数多く得た。
相談内容は、人が採れない・育たない、評価がうまくできない、人事制度が機能していない、企業理念が浸透しない、効果的な求人の書き方が分からないなど、人に関するものがほとんど。
人材の採用や定着、育成をコンセプトにしたコンサルティングをしている当所にとっては、まさにそのような悩みを解決することがミッション。「相談してよかった」という言葉をいただく都度、今までやってきたことが実を結んでいるのだと実感できた。
また、人材定着に関するセミナーや研修にもいくつか登壇した。
来年も当コンセプト・ミッションの下、常に自己研鑽し、コンサルティングやセミナーをブラッシュアップさせていきたい。
そして、引き続き「いい会社」(ESと定着率が高く業績も伸びている会社)の視察や企業研究にも力を入れていきたい。
平成もあと少しで幕を閉じる。
平成という時代を一言で表すとしたら、僕なら「ネット社会」。良くも悪くも、ネットは世の中を大きく変えた。
新しい時代は、更に進んで「AIの時代」になるのだろうが、AIに喰うか喰われるかは、最終的に自分次第だと思っている。
ちょうど1年前に、当ブログで「自分の生き残る道を真剣に考えないといけない」みたいなことを書いたけど、今年はそれに対する一筋の光が見えてきたような1年だった。