先日、名古屋HR EXPOに行ってきた。
HR EXPOとは、いわば総務・人事・経理系の商品やサービスの出展イベント。
場所はポートメッセ名古屋、出展企業は約200。地元名古屋はもちろんだが、東京からの出展が多いようだった。
主目的は、HRに係る最新のテクノロジーやトレンドなどを情報収集することと、後日その情報をクライアントに提供すること。
企業ブースは、「働き方改革」「人事労務・教育・採用」「オフィスセキュリティ」「オフィスサービス」「福利厚生」などに分かていた。
とは言え、あまりにも数が多いので、予め目的を絞って(行きたいブースに予め印を付けた会場マップを見ながら)回った。結果、これは効率的に回れて大正解だった。
今は人材難ということで、採用HP作成や新卒採用管理システム、離職防止システムなどのサービス・商品が目立った。
CMもやっているある企業にいたっては、制限付きながらそれらサービスが無料で試せる。なかなか内容も良さそうだ。
社労士事務所がクライアントの求人サイトを作成し、自社HP上で紹介するというアイデアもあった。社労士HPをindeedやグーグル仕事検索などの求人情報検索専用サイトに連動させる。
離職防止システムとは、上司が部下の日々の調子をチェックするシステムで、何か変化があったら早めに対応し離職防止につなげる、というものらしい。
具体的には、上司が部下に「今日の調子は?」と聞いて、それに対して部下が答える。ただそれだけのことだが、但しこれらのやりとりは全てスマホ(専用のチャット)を通じて行う。ここがいかにも今どきだ。それくらい直接聞けよと思うのは僕だけ?
このシステムを導入しただけでは離職防止にはならないが、若年者にとっては使いやすい(伝えやすい)のかもしれない。今はラインの影響もあって、メールすることも”かったるい”らしい。
新卒採用管理システムは、今やラインを使うものが主流のようだ。
福利厚生的なものとして、相手に「いいね」を押すと相手にポイントが付与され、そのポイントで予め用意された商品に交換できるというインセンティブサービスを提供する企業も。ちょっとした”ゲーミフィケーション”だ。真剣にやるというより気楽にやる感じ。
この話をある大学生にしたら「商品よりもお金が欲しい」と言っていた(笑)効果的なインセンティブって実に難しい。
他方、正統派?の「カフェテリアプラン」を提案導入する企業もあった。
今は健康経営に関係するニーズが増えているそうで、今後は同一労働同一賃金の影響で更に追い風のようだ。
確かに、同一労働同一賃金って賃金だけじゃないからね。
ちょっと期待外れだったのが人事評価(目標管理)関係。
普段、紙ベースでやっている人事評価をそのままシステム化するというものが多く、確かに評価の運行管理は人事にとっては楽になるが、それ以外は特に目新しいアイデアや発想というものは見当たらなかった。
やはり評価は、内容までは手が出せないのだろう。そこをコンサルティングできれば強いが。(まぁ、それをやっている最近よく耳にする企業はあるけどね。もちろん出展していた)
教育関係で興味深かったのは、経営や財務、チームビルディング、リーダーシップなどを習得するためのカードゲームや研修を開発・提供している企業。しかしゲーム本体価格の高いこと高いこと!まあまあの中古軽自動車が買えるぞ。単なる紙なのに(失礼)
他方、有名なマネジメントゲームを扱う企業は、予想以上に購入しやすい価格帯で販売していて(とは言えそれなりにする)、思わずいろいろ質問してしまった。購入後は自由に有料セミナーを開催してもいいようで、コツコツやれば元は取れるだろう。ん~欲しい!
最近よく耳にするようになった「1on1」(個別面談)を、誰でも実践できるための専用カードを提供している企業もあった。体験させてもらったが、「あなたは目標が明確にあるから、実にスムーズに面談ができました」と言われた。ゴマすられているのは分かっていたけど、悪い気はしない(笑)
JTBが出展していて驚いたのだが、もう随分前からモチベーションについてのサービスを提供しているそうだ。知らなかった。
ここ数年、個人的にセミナーでお世話になっているので、ご挨拶に伺った。
働き方改革の柱である、生産性の向上を促すサービスや商品を提供する企業も多く出展していた。
例えば、手のひらの静脈で入退社時刻を管理できるシステムやオンライン会議やチャットでできるビジネスコミュニケーションシステム、コールセンターや総務業務、採用対応などに役立てられるAIチャット、定型業務を自動化できるRPAなどなど。
特にAIチャットは、人間の代わりに24時間・365日ずっと働いてくれるわけで、データや経験が蓄積するほど使える用途が増え、ランニングコストは安くなっていく。
今までビジネスチャットは、イマイチ懐疑的に見ていたのだが、完全に認識が変わった。
ちなみに、給与計算や勤怠管理についても多く出展されていたが、特に興味がなかったのでスルーした。
しかし場内どこを歩いても各ブースからの”呼び込み”が凄く、企業パンフはもちろん、ノベルティグッズもたくさんもらえ、ちょっとしたお祭りみたいな雰囲気は楽しめた。用意した30枚ほどの名刺も最後は底を尽きた。
総じて大企業向けのサービスや商品が多く、また料金もそれなりにして、中小企業にはなかなか手が出ないだろうというのが率直な印象だが、それはそれとして、各企業の担当者とのやり取りの中で、多くの最先端の情報やトレンド、気づき、そして”相場観”を得ることができたのは大変有意義だった。
HRテクノロジーは確実に進化していて、スマホ・ライン・チャットなど、デジタルデバイスやSNSツールは、もはや人事をしていく上で避けては通れない感じだ。離職防止システムに見るように、人間同士の直接のコミュニケーションで済むことでさえだ。
とは言え、その反動みたいなものはくるだろうから、例えばカードゲームを使った研修に見るように、直接のコミュニケーションもより求められていくのだろう。
おまけ(名古屋飯)