人事制度関係の打ち合わせが重なったこともあって、今週はなかなかハードな1週間だった。
あるクライアントは、まさにこれから人事制度を入れようと数ヵ月前にスタートを切ったばかり。
予めトップや幹部社員へコンピテンシーをまとめてもらうよう依頼してあったのだが、それがある程度まとまったというので、今週は一同に集まってもらい、トップから理念や思いを語っていただいたのだ。
初めて聞く話だったようで、感動して鳥肌が立ったという幹部社員もいた。
今後はそのトップの思いを胸に、キャリアパスやクレドの作成に着手していく。キャリアパスは幹部社員らに、クレドは職場のスタッフにそれぞれ考え作成してもらう予定だ。
なんにせよ、改革する場合はトップが語らなければ何も始まらない。そしていかに多くの人を巻き込むかが大切だ。
別のクライアントは、昨年導入した人事制度がなかなか期待どおりに運用できていないがための打ち合わせ。幹部社員のほか、トップにも同席していただき、意見を拝聴した。
システム的に少し見直しが必要な箇所もあるようだが、それは制度変更とシミュレーションを重ねればある程度解決できるだろうとの見通しが立ったが、一方、フィードバックが十分できていなかったことによる影響も否めなかった。
人事制度をうまく導入・運用するためには、
・その会社や職場の風土をよく知る
→それにより制度設計やアプローチ法を変える
・多くの人を巻き込む
→他人事でなく自分事にさせる。さもなくばトップダウンになり、やらされ感しか生まれない
・トップに思いを語ってもらう(トップの思いや願望を知る)
→これをやらないと、最後の最後でトップの決裁が下りず、ひっくり返されることもありうる
・フィードバックに手を抜かない
こういったことは時間がかかる。正直面倒だ。だからやらないコンサルタントもいるだろう。自分たちのやり方でちゃっちゃっとやった方が速いからだ。でもそれは、結局使えない制度になるのがオチだ。
人事制度の書籍を見ても、システム設計のことが中心で、こういった手間がかかるが肝心なことはあまり熱心に触れられていない。
結局人事制度と言っても、制度の前に人対人の話なのだ。活きた制度にするには、泥臭く、いかに多くの人を巻き込むかで決まるといってもいい。確かに手間と時間はかかるが、でも実はそれが最短なやり方であり、人事制度は急がば回れなのだ。なんてことを改めて感じた今週だった。