最近、仕事をしていて人事制度(賃金や評価)に関する相談が何かと多い。
その理由を僕なりに端的に分析すれば、
①労働者の権利意識の高まり
→ちゃんとしたルールで評価をし、賃金を払わないと人が定着しない
②コンプライアンスの高まり
→ちゃんとしたルールで賃金を払いたい
③人材の多様化
→多様化する人材や働き方をどう公平に評価し賃金に反映させるか
④雇用の延長
→何歳まで雇用するか、定年後の賃金をどうするか
⑤制度の問題
→点数付けが困難、形骸化
⑥運用の問題
→評価者エラー、フィードバック・動機付けができていない
①は、賃金や評価のルールが不明瞭で、社員から不平不満が多い会社に多い。
②は、賃金ルールが不明瞭な会社に多い。きっかけは、社員からの不平不満や労基署調査、或いは経営者の自発的な意識など。
③は、多様な人材(働き方)が混在する会社や賃金ルールが曖昧なまま規模が大きくなった会社に多い。
④は、中小企業に多い。中小は、自社の定年をよく把握していないケースや忘れてしまっているケースがよくある(言い換えれば、何歳までも働ける人は働いてもらう意識が強い)。更に、今後70歳までの就業機会確保の法改正が進めば、シニアの賃金に関する相談はますます増えるだろう。
⑤は、多くの会社にみられるが、ある意味最も難しい。正解はないからだ。
⑥は、多くの会社にみられる。評価者としての役割が教育されていないことが多い。
まあ僕の分析はどうであれ、経営者や人事担当者の相談を聴いていると、結局、会社としての人事戦略(求める人材像、採用・育成方針、多様な人材活用、社員定義、理念等)の乏しさにたどり着く。
「一体、どのような人材を求めているのか?どのように育てようとしているのか?」思わず聴きたくなる(というか聴いてしまう)。
最近の話で言えば、当ブログで紹介した「道頓堀ホテル」が参考になる。同社では、採用面接は実に4回行っている。ミスマッチ防止と理念に共感した人材を採るためだ。
人事制度は、あくまでも人事戦略を遂行するための1つ(戦術)に過ぎない。人事制度だけを取り出し、付け焼き刃的な対応をしても本質的な解決にはならない。