先日、坂本光司先生の講演を聴きに行った。
それにしても斬新な講演タイトル(笑)
先生の調査によれば、いい会社の社員の子供の数は1.9人(2人以上は33%)、普通の会社は1.4人、問題の多い会社は1人以下だそうだ。
例えば、僕が今まで見学などしたことがある企業でいうと、たんぽぽ介護センター2.02人、合掌苑1.87人、長坂養蜂場2人など。
その結果、いい会社は日本の3大課題(①少子高齢化 ②税収不足 ③社会保障費増)を解決するという。
①は、合計特殊出生率が2人の場合、日本の人口は2030年までは今の1億2500万人を維持し、2100年でも1億100万人となる。現実は1.4人と低い。
②③は、赤字企業比率は約63%(2017年)と依然高いが、一方、大半のいい会社の売上高営業利益率は5~10%だ。いい会社が増えれば、法人税や所得税の税収が増え、社会保障にも充てられるという理屈になる。
ただ、利益率が高いからといって良いわけではない。高ければ高いほど、それは誰かの犠牲の上に成り立っているということ。先生曰く、下請けに安く発注したり、経営者が社員の10倍もの報酬を得ていれば、それは間違っている。健全な黒字と赤字、不健全な黒字と赤字が存在するということだ。
ちなみに、2019年の日本の歳出額は101兆円(社会保障費と国債費、公共事業の3つだけで66兆円)、それに対して租税収入は62兆円。この穴埋めとして、最も安定的な税収が見込める消費税が今回引き上げとなったわけだ。
参考として、いい会社の法則性として次のようなものがある。(70%以上のものを抜粋)
・お互い様風土の醸成経営 84.3%
・社員にノルマを課せない 80.4%
・社員間に過度な競争をさせない 80.4%
・有休の取得を奨励している 80.4%
・多様な働き方の用意 78.4%
・短時間勤務制度 76.5%
・社員がリラックスできる空間 74.5%
・法定外福利厚生の重視 74.5%
・社員第一主義経営の実践 72.5%
・家族参加の親睦会行事 70.6%
・家族参加の親睦会行事がある 70.6%
・早出・遅出出勤制度 70.6%
先日、アメリカの経営者団体、ビジネス・ラウンドテーブルが、株主第一主義から顧客第一主義(2番目社員・3番目外注・4番目地域社会・5番目株主)へと転換していくという声明を出したのには驚いた。
行き過ぎた資本主義や一部巨大企業の市場独占により生じる格差問題を、いよいよ無視できなくなってきたのだろうか。
いずれにせよ、これは日本型経営に舵を切ったということ。今後注目していきたい。
社員を大切にするいい会社→安心して長く働ける職場環境や仕組みがある→社員が安心して子供を産み育てやすい→出生率が上がる→日本の3大課題を解決 といった方程式は、確かに理にかなっているし、何より皆がハッピーになれていい。