待ちの転職

知人から近々転職するという電話があった。

よくよく聞くと、今の会社ではこれ以上自分のキャリアや年収を上げるのに限界を感じたそうだ。サラリーマンはつらいよ。

で転職活動はと言うと、転職エージェントに紹介された同業他社から既に内定をもらったという。自分のプロフィールやキャリア、希望条件などを予め登録しておくだけで、そんなに苦労せず見つかった様子だ。

 

 

先日、クライアントの社長と求人の話になった。

最近、ある人材紹介会社から3名紹介されたのだが、結局、手数料(年収の約30%)の高さにあきらめたという。3人ともある資格を有していて、その有資格者がいないと業務に支障をきたすため、社長としては本当は喉から手が出るほど欲しかった人材だ。コロナ渦で解雇や雇止めが増えている一方、相変わらず人材難な業界もある。

ちなみに社長は、こっそり内緒で応募してきて欲しいと本人に伝えたのだが、それが後からばれ、転職エージェントに「採用したら即手数料をいただく」とこっぴどく叱られたらしい(笑)

 

でもここで素朴な疑問が。

そもそもその有資格者は業界では引く手あまただから、自分で自分の希望に見合った転職活動も余裕でできるはず。なぜそうしないのか。

社長も同じように思ったようで、本人たちに面接で聞いたところ、登録しておけば勝手に希望に合った企業を紹介してくれて楽だからだそうだ。登録はもちろん無料。わざわざハローワークへ出向いたり、必死こいてスマホで転職活動する必要もない。登録さえしておけば、後はあみんの「待つわ」の鼻歌でも歌っていればいい。前述の知人と同じだ。

 

ただ、自分に高い手数料が発生することを知っている人は誰もいなかった。知人も知らなかった。どうやら転職エージェントは、手数料の話を意図的に本人にしないようだ。

憶測だが、それを事前に知ると「自分が売られている」と感じる人がいるからなのか、或いは、自ら紹介先に別の媒体で応募するよう気を使う人がいるからなのか。

 

 

いずれにせよ、地方でも転職者の意識や転職活動そのものが変わってきている印象を受けた。中小企業は、そのような「待ち」の人材を採用するためには、今まで以上にコストや工夫が求められる時代になってきたように思えた。


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