相変わらず評価の相談は多い。
僕は評価する目的を必ず聞くのだが、ほとんどの人が「処遇」と答える。まぁ、そうだろう。
処遇するためには、自ずと評価指標は同じものになる。人と人を比較する必要があるから。点数化し序列付けすることに勤しむことになるのだが、営業職のような成果が定量的に計れるものであればまだしも、定性的なものでも無理やり点数化することになる。まずここが大きなハードルだ。
最終的にAとかBとかCとかランクをつけて賞与や昇給を決めるわけだが、それって、たかが数万円や数千円の差をつけるためだけの行為とも言える。そのために多大な労力や時間をかけるわけで、それが報われればまだしも、結果、残るのは部下からの不平不満だけ。それってホントやる意味ある?
それでもやりたいというのであれば「恐らく不平不満の温床になるでしょう。それでもよければ、どうぞどうぞ」とダチョウ俱楽部ばりに言うしかない。
ではどうすればよいか?
それは、評価の目的を根本的に変えればいい。目的は人材育成にする。
その結果、処遇を目的とする評価とは真逆になる。個人目標による評価になるので、内容が人によって全く違う。
賞与は等級で予め決めればいいし、昇給も一律で決めておけばいい。特に会社貢献度が高かった社員や成長が著しかった社員については、プラスαしたり、表彰してあげればいい。それらの加点評価については、備忘記録を忘れずに。
4月からこの人材育成の評価制度を導入するクライアントがある。1年かけて現場のリーダーらと検討を重ね、意識や知識の共有を図ってきた。システムも重要だが、運用はそれ以上に重要。多くの企業がここをすっ飛ばす。だからうまくいくはずがないのは当然。
賞与や昇給で無理やり差をつけるのではなく、表彰によって内発的動機づけという報酬を与える。表彰は「公の承認行為」であり、これはずっと心に残り動機付けになる。他方、金銭的インセンティブの動機づけ効果は短命だ。
これら評価制度と表彰制度について「人材育成規程」として規程化し、いよいよ来月に社員説明会となる。
「時間がかかり苦しい評価」から「時短で楽しい評価」に。ワクワクする。