本の紹介。
昨今よく見聞きするようになった「SDG’S」。
SDG’Sの書籍は数あれど、本書は非常に分かりやすくかつ具体的に書かれていて参考になる。お勧め。
SDG’Sの17項目について、筆者の経験や実例を通して、次のメッセージが通しで書かれている。
①会社が、普段やっていることが既にSDG’Sかもしれない
②すぐに中小企業で始められるSDG’Sがある
③社内でSDG’Sと矛盾したことは恥ずかしい
④SDG’Sに関連した社会問題と世界の動きを知ること
また、SDG’Sをうまく企業戦略やブランディングに活かすことを提案している。このあたりは、いかにも経営コンサルタントらしいが、それも全然あり。
「SDG’S=ボランティア」みたいなイメージもあるが、もちろんそういう側面だけではない。
本書を読み進んでいくと、「ああ、こんなことでもSDG’Sになるんだ。それなら実は個人でもやっているな」と、SDG’Sのハードルが下がる。
世界では、未だ大変な生活を強いられている人々が大勢いる現実も実感する。国内でイマイチSDG’Sが盛り上がらないのも、日本が平和ボケしているせいだろう。
筆者は国内はおろか、海外の経験も豊富なようで、日本・日本人へのダメ出し(グローバル化に遅れをとっているところ)をズバズバ指摘していて、視野が広がる。
個人的に特に興味があるのは、「10 人や国の不平等をなくそう」。
一昨年アメリカに行ったときに、黒人差別の歴史を目の当たりにしたのだが(特にメンフィスにあるロレインモーテル(アーサーキング牧師の市民権運動博物館))、それは自分にとって大きな衝撃だった。そして、未だなくならないどころか、ひどくなっている印象さえ受ける。
国内でも格差問題は深刻だ。先日あるメディアで、非行に走る生徒が多く集まる高校(教師)の奮闘記をやっていたのだが、教師が生徒の家を訪ねると、多くが一人親だったり経済的に厳しい家庭ばかりだったという。そして生徒は不登校になったり、中退して働きに出たりするのだが、生徒は何ら疑いもせずそれが当たり前だと思っている。
で高校は検討した結果、金を儲けるための授業に舵を切った。自ら生きるための知恵や力をつけるための授業だ。
それを観ていて、格差は罪だと感じたのだが、まさにこの高校が実行していることは、立派なSDG’Sといえるのではないだろうか。
SDG’Sは全世界の宿題だ。ゴールの2030年は、どんな世界・社会になっているのだろう。