有休×退職金。
前回のブログでも書いたが、今は以前よりも労働者の有休に対する意識は高まっている。とは言え、そんなにバンバン有休を取られても、業務に支障が出て正直非常に困る業種もある。
そんな悩みを抱えていたあるクライアントに、僕は以前「有休積立退職金制度」を紹介したことがあったのだが、現在就業規則を見直している中で、その制度を本格的に導入したいとリクエストがあった。
で先日、早速資料を基に提案してみた。
制度案概要はこうだ。
・時効消滅した有休を積み立てておき、将来の退職金の原資とする。
・退職金の算定方法は、退職時に積み立てた有休日数×単価。
・年間の積立上限日数を決めておく。当然、年5日の取得義務がある者はそれを妨げない。
・単価は、例えば等級別に決める。事務の煩雑さを避けるため、あくまでも退職時の等級で判断したらどうか。(ちなみに消滅しているから、いくらに設定しようが会社の自由)
・有休が発生した年から積み立てられるが、在籍3年以上でないと退職金は出ない。
・法の趣旨から、会社が強制的に積み立てをさせることは一切しないこと。など。
メリットは、
・社員は、有休消化できないことに対する不満が減る。
・社員は、退職所得となり所得税が原則かからない。
・会社は、急な(無理やりな?)有休消化による業務への支障が減る。←これが一番の狙い。
デメリットは、
・会社は、本来払う必要のない人件費が発生する。
・会社は、有休管理の負担が増える。
クライアントの反応は、トータルで見てやはり導入した方がよい、ということだった。
ただ、細かな退職金シミュレーションも見せたのだが、難しいのがその単価設定。
低いと(退職金として魅力がないと)「今まで通り有休請求した方がいいや」となり、こちらの狙いが外れるし、高いと無駄な人件費となりかねない。
その落としどころが今後の課題だが、労使の不満が少しでも減るような制度設計にしたい。