10年以上前に購入した古着のジャケットがある。
結構気に入っていたのだが、今はあまり使用していない。なぜなら、5年くらい前にファスナー(つまみの部分)が破損してしまったからだ。
当時、いくつか縫製店に持ち込んでは修理依頼をしたのだが、全店から「これは無理」と言われ、それ以来ず~とあきらめていた。
つい先日、何となく思い立ち、そのジャケットを持って、ダメ元である縫製店に持ち込んでみた。
するとそこの店主らしいおばさんから「これは…難しいね。今すぐにはウチでは修理できない」と言われた。やっぱダメか、と思ったら「ジャケットをしばらく貸してくくれば、このファスナーに合うもの(つまみ)を探しますよ」と予想外の言葉が。
聞けば、ファスナーと言っても色々種類があり、合うものが無ければファスナー全体を取り換える必要があり結構な料金がかかるが、合うものがあればそれを取り付けるだけでよく、そんなに料金はかからないとのことだった。
合うものが見つかる保証はどこにもなかったが、それ以外の選択肢はない僕は、そのまま預けることにした。
1週間くらい経って連絡があり、何と合うファスナー(つまみ)が見つかったとのこと。
翌日、早速店に出向いたら、ファスナーが復活したジャケットがそこに!
おばさん曰く「問屋に出向いたが合うものが無くて、その後リサイクル店に行って、たまたま見つけたこのジャンバーのファスナーが合ったよ」と、そのジャンバーを見せてくれた。
「ジャンバーをわざわざ購入したんですか?」と聞いたら、「このジャンバーには他にも色々な種類のファスナー(つまみ)がついていて、いくつも持っていれば、きっと今後役に立つと思ったから」と、今まで集めた何種類ものファスナー(つまみ)を見せてくれた。
時間と労力だけでなく、お金までかけてくれたということだ。感謝しかない。
今回の件は、店の収益的には恐らくマイナスだと思う。普通は、店としてはやはり断るのだろう。
でも、もし今度何か縫製のことで困ったことがあれば、真っ先にこの店を選ぶことは間違いないし、人は(予想を超えて)感動したことを人に話さずにはいられない。(このブログもそういうこと)
こういう人をプロフェッショナルと呼ぶのだろう。