先日、サイゼリヤの社員研修体験会に参加した。
サイゼリヤは、数年前から店長向けに、なんとボードゲームを使った社内研修を実施している。
先日伺ったゲームマーケットでご縁をいただき、今回の運びとなった。
説明を聴いて、早速ゲームスタート。
各プレイヤーは、毎ターン発生するハプニングや時期によって変わるトレンドを見極めながら、自分の店舗を無事に運営していくことが目的。
店舗運営には4つの要素(モチベーション・人数・効率・メンテナンス)があり、うち2つの要素がゼロポイントになると店はつぶれてしまう。(=ゲームから脱落)
そうならないように、ゲーム中はハプニングに対応したり、雇用を増やしたり、部下をトーレニングに出したり、先輩社員に助けを乞うたり、部下と雑談したり、さまざまなアクションをしていく。
ただこのゲーム、肝心な売上という要素がない。聞くと、サイゼリヤでは実際、店長には売上目標は持たせていないのだそうだ。売上は、結局立地条件によって最初からある程度決まってしまうものだからだという。なるほど。
この売上の話でも分かるように、このゲーム、サイゼリヤの経営方針やメッセ―ジが至る所に反映されている。
例えば、
・雇用し過ぎても、雇用しなさ過ぎてもダメ
→ゲームでは、いずれもマイナス点になってしまう
・部下と相談したり、雑談したりするときっといいことがある
→「相談雑談カード」を引くと、結構高い確率でいいことが起きる
・困ったときは先輩に頼れ
→毎ラウンド先着1人は、やっかいなハプニングが起こった時に先輩の助けを受けられる
・原則、店長一人でなんとかするもの
→ゲーム中は、お互いに質問やアドバイスができるが、基本協力プレイではない
・同じようなハプニングはまた起こる(経験を活かせ)
→一定のハプニングカードは、また出てくる仕組みになっている
・おおよそ1年半で店長として一人前になる
→ゲームは全9ラウンド(1年半(1ラウンド2ヵ月))構成
・とにかく店を現状維持でいいからもたせること
→売り上げの要素は一切なし
・ゲームではむしろ店を潰す経験をさせたい(そのゲーム体験が、実際の店舗運営において、店を潰してはいけないという意識・注意に役立つ)
→多くの人が最終ラウンドまでもたないくらい、あえて難しい作りにしている
「現状維持」を求めつつ、ゲームではむしろ「店を潰す経験をさせたい」(ゲームだから許される)という発想がすごい。
自分もこのゲーム体験によって、サイゼリヤの方針やメッセージが色濃くインプットされた。この先、恐らく忘れないだろう。
このような、1つの企業に特化した研修ゲームというのは初めての経験だった。
汎用性はない分、企業メッセージが分かりやすく明確に社員に伝わり、研修効果もかなり期待できるのではないかと感じた。
こういう手法もあるんだ。貴重な体験だった。