人事~ヒトゴト

先日、テレビを見ていたときの話。

ブラックな内容を扱う番組で、その回は大手人事担当者が出演し、過去のブラックな内容を赤裸々に語るというものだった。

その人事担当者は、言わば「辞めさせ屋」で、上からの指示でターゲットの社員に退職勧奨をするのが仕事だったという。退職勧奨のやり方が巧妙でえげつない。辞めた社員から逆恨みされ、身の危険を感じ引っ越ししたことも。

そして最後は自分自身がうつになり、結果退社したという。

 

 

僕は前職で人事をやっていたとき、何回か解雇通知や退職勧奨したことがある。解雇は、やられる方もつらいが、やる方もつらい。

テレビを見ていて、思わずフラッシュバックしたことがあった。

 

それは、入社数ヵ月の新卒社員を退職勧奨したこと。本人自身のある致命的な理由により、仕事を続けることが困難なことが発覚し、会社が下した判断は退職勧奨。

で、その役を担わされたのが僕だった。新卒採用活動でずっとその新卒を見てきたこともあり、上司へ雇用継続を具申したが、他にやらせられる仕事がないという理由で通らなかった。(ちなみに新卒だが限定採用)

退職勧奨の日。昼間誰もいない会議室に呼んで、一通り僕の方から話をした後はず~っと沈黙を貫いた。この長い沈黙の時間は、こちら(会社)の希望を察してくれというサインだった。

結果、その新卒社員は退職という道を選んだのだが、何ともやるせない気持ちだった。

 

当時、人事コンサルタントが「人事は時に『ヒトゴト』と読む」と言っていたのを思い出す。

もちろん、違法な退職勧奨や解雇はダメだが、人事は時に『ヒトゴト』にならないとやってられないこともある。


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