先日、クライアント先で労働局による同一労働同一賃金調査があった。
当該クライアントは昨年、同一同一対策として通勤手当や勤続手当の見直しを図ったばかりだった。いいタイミングだ。
調査は、事前にクライアントが記入した調査票に従い、調査官がその内容を一つ一つ確認しながら進んでいった。ちなみに、調査は昨年も他のクライアントで経験済みだ。
途中、調査官から母性健康管理措置の規定不備について指摘されたが、そこはあくまでも努力義務。「次回、就業規則を見直す際に一緒に規定して下さい」で済んだ。
その後も調査は問題なく進んでいった。ただ一つを除いては。
それは、パートタイマー労働者(週の所定労働時間が通常の労働者より短い労働者)の労働条件通知書の昇給のところ。
クライアントのそれは「昇給する場合がある」となっていたのだが、どうやらこの表記ではダメで、昇給があるのか無いのかをまず明確にする必要があるとのこと。例えば「昇給なし(○○の場合は昇給する場合がある)」といった具合。
「どっちでも同じことじゃないか?」と思ったが、確か昔、パートタイマー労働法の法改正で、昇給と賞与についてそんなような変更があったことをふと思い出した。すっかり忘れていた。(とは言え、やっぱどっちでもいいような内容だと思うが)
最終的に、是正指導されたのはそこだけだった。
調査も終わりにかかったとき、僕の方から調査官にどうしても確認したかったことがあったので、思い切って聞いてみた。
それは、同一同一調査で、労働局はどこまで是正指導できるのか?ということだった。同一同一の問題は、もしトラブった場合、最終的には司法の判断に委ねられる性質のものだからだ。
そうすると調査官は「今のところ通勤手当だけですね。それ以外の賃金については、よほど不合理であると認められるようなものがあれば、いったん局へ持ち帰り案件とすると思います」とのことだった。
それを聞いて、やはりそうか!という思いと、昨年、何ヵ月もかけ通勤手当の見直し(正社員だけに支払われていたため、いっそなくした。もちろん、不利益変更対策済みだ)を図ってよかったとつくづく思った次第だ。
通勤手当に差異がある場合、見直しはマストだ。