最近、労働時間制度についていくつか相談を受けている。
1つは1週間の変形労働時間制。
1年単位や1ヵ月単位の変形は導入する企業が結構あるが、1週間単位は久しぶりだ。
1週間変形は、予約が急に入ったりするような小規模の飲食店などでの活用が想定されていて、実際にそのようなクライアントから相談を受けている。1週間の労働時間を事前に書面にて労働者へ示せば、柔軟な働かせ方が可能になったり、余分な割増賃金を抑制できたりする。
ただ所定労働時間は、1日10時間まで週40時間までという制限がかかる。小規模な飲食店の場合、通常は週44時間まで確保できるため、ここが悩ましい。
他にはフレックスタイム制。
始業や終業の時間を労働者の裁量に委ね、柔軟な働き方が可能になる。労基法の改正により、今は最大3ヵ月まで清算期間を設定できるので、数ヵ月の間に業務の繁閑があるような場合は活用しやすくなった。
割増賃金については3ヵ月後に精算することになるが、週50時間を超える時間外労働があった場合は、その分の割増賃金をその月に支払う必要がある。
現在、ある企業から3ヵ月フレックスの導入にあたり相談を受けているのだが、固定残業代との関係について質問があった。
結論から言うと、50時間を超えた分はその月の固定残業代で賄えるが、1月目と2月目の固定残業代は3ヵ月目には持ち越せないため、3ヵ月間の割増賃金を精算する場合は、3ヵ月目の固定残業代のみが対象となる。
だから2ヵ月以上のフレックスと固定残業代との相性は悪く、会社は余分な人件費が発生することになり現実的でない。
あとは在宅勤務制度。
コロナの影響で在宅勤務は増えているわけだが、導入にあたっては、労働時間の管理、業務の進捗や成果の確認、評価査定、モバイル機器や通信費の費用負担、通勤費の取扱いなど事前に細かなルールを決めておく必要がある。
またフレックス同様、労働者本人に時間管理能力がないとダラダラになる恐れがある。(だから在宅の対象者は最終的に会社が決定したり、週2日くらいにする場合が多い)
現在相談を受けている企業は、とりあえずトライアルで1年間導入して様子をみることとした。
様々な働き方を模索する企業は増えているが、労働時間制にはそれぞれ一長一短があり、なかなか企業が思うようなピッタリの制度がなかったりして悩ましい。