新しい年が始まった。
今年の労働法改正(改悪?)の目玉は、何と言っても、4月から中小企業に適用される「月60時間を超える時間外労働に対する50%割増賃金の支払い義務化」だろう(長い)。
これは過去の労基法改正によるもので、大企業は既にとっくに適用されているが、中小企業はずっと猶予されてきた。それがいよいよ適用となる。
ポイントを列挙すると、
・あくまでも法定時間外労働が対象。法内残業は対象外。
・法定休日労働(35%)は対象外。
・深夜業と重複すると、その時間帯の割増率は75%になる。
・代替休暇を付与することで、25%分の支払いが免除される。
・対象者がいる場合や代替休暇を付与する場合は、就業規則の変更が必要。
従って、一口に残業と言っても、法内なのか法外なのかをちゃんと把握・管理できるようにしておくことが大切。法内残業を60時間としてカウントすると、会社は損する。
深夜業との重複75%はえげつない。月末は、深夜労働をさせない企業も出てくるかもしれない。
代替休暇は現実的でないと思う。制度が複雑であり、そもそも残業が多い社員に休暇を与える余裕はないだろう。
また、残業は月60時間までしか認めないとする企業も出てくるだろう。適切な運用であれば問題ないだろうが、サービス残業化するリスクも高くなる。
今後、賃金消滅時効の延長も相まって、未払い残業代リスクが高まる。
適切に労働時間を把握し、適切に残業代を払う、というのは当然だが、これを機に、労使で無駄な残業を減らし、労働生産性を上げていく努力をするに限る。