最近よく聴く言葉として「雇用流動化」がある。
端的に言えば、日本経済を立て直すべく、もっと然るべきところに人材が流れ活躍する世の中にしよう、といったことだと理解している。
同じく、最近よく聴く「ジョブ型雇用」も然りで、もっと仕事で評価・処遇すれば優秀な人材が活躍しやすい世の中になり、能力の高い人材はもっと自分を評価してくれる企業へ転職したり起業しやすくなる(雇用流動化を促進する)、ということだと理解している。
今年になってやたら政府が連呼する、流行語大賞ノミネート「賃上げ」もそういったことに関係してくるわけで、ユニクロが大幅な賃上げを発表したのは、処遇水準を世界基準に合わせ、GAFAから優秀な人材を獲得するためだ。
他方、雇用流動化を阻む懸念材料もいくつかある。
まず何と言っても日本は解雇が厳しいこと。
最近はこちらの話はあまり聞かないが、雇用流動化を促進するには避けて通れない。
また、扶養制度も働く担い手を減らしている。
いわゆる「年収の壁」問題だが、最賃が上がり続けることにより、現場では以前よりも増して、年末に労働時間を調整するという訳の分からんことが起こっている。残念ながら被扶養者は、「もっと働こう」より「意地でも扶養内でいよう」という思考に働く人が圧倒的に多い。
扶養制度は「サザエさん一家」(夫は働き妻は専業主婦)を想定した昭和のシステムだ。平成以降は共働きが当たり前の時代、社保財源も枯渇していく中、時代遅れの扶養制度はなくなり、いずれ原則働く人全てが社会保険料を払う時代になるのだろう(社保適用拡大がそれだが)。ただ問題は半分が会社負担ということ。これを補填するような制度とセットでの議論が必要だ。
そして、そもそも日本人が仕事で処遇を決定できるのかということ。
玉虫色が大好きな日本人が、明確に仕事や役割の範囲を決め評価査定できるのか?過去に何度も職務給を導入しようとしたが、メンバーシップを重視する日本型雇用には結局なじまなかった(異動ができず組織が硬直化する)。ただ確実に以前と違うのは、外国人労働者が増えている中、日本企業もグローバル化の意識改革が迫られているということ。
果たしてジョブ型雇用は本当に定着するのか?中途半端な形で終わるのか?(多分後者)
雇用流動化を促進し、イノベーションを起こせないとなるとこの国はマジでやばいな。