政策と矛盾する助成金

先日、労働局から申請済みのキャリアアップ助成金についての問い合わせがあった。

その中で、執拗に非正規社員の退職金について聞かれた。

正社員には退職金制度があり非正規には無い旨を伝えたのだが、どうやら今は正社員と非正規において、相応の賃金差があることが要件(要素?)になっているらしい。(一応知ってはいたが、まともに質問・説明されたのは初めてだ)

 

当然ながら、我々社労士はここで疑問が浮かぶ。

 

いわゆる「同一労働同一賃金」に見るように、昨今国は、正規と非正規の間の不合理な待遇差をなくそうとしているわけで、当該助成金の要件(要素?)は明らかにその政策と矛盾する。

更に困るのは、我々の企業への指導において支障が出ることだ。同一同一の話をしたところで、恐らく多くの経営者は助成金欲しさで「だったら差をもければいいんですよね」という発想になりがち。

 

局担当者へそれらについてチクリと伝えると、「…そ、そうですよねぇ~」とぐうの音も出ない様子だった。

そもそも今は賃金増額3%要件があるので、それだけで十分だと思う。そこで賃金差があることは明白だ。

国の政策と矛盾するような助成金はいただけない。

 

 

ちなみに当該助成金は、令和5年11月29日から正社員転換する者から、次についての拡充策が適用される。

・助成額の増額 57万円→80万円(2期に分けて申請)

・有期上限(3年以内)の撤廃 など

 

企業にとってはありがたい内容だ。それもあってか、心なしか最近は当該助成金の審査が厳しくなっている(細かくなっている)印象がある。

多くの厚労省助成金が使い物にならなくなっている(使いづらくなっている)印象の中、キャリアアップ助成金一極集中化は更に進みそうだ。


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