賃上げアイデア、社員を個人事業主に?

内閣府で、賃上げ政策アイデアコンテストなるものが開催されたそうだ。

優勝アイデアに選ばれた2つのうち1つが、「残業から副業へ。全ての会社員を個人事業主にする」というものだったらしい。(内容は見ていない)

 

「賃上げを幅広く実現するための政策アイデアコンテスト」を開催しました - 内閣府 (cao.go.jp)

 

このタイトルを見て「なるほど、ナイスアイデアっすね!」と思った人は、失礼ながら労働法に疎い人だろう。

僕ら労働法の専門家であれば、法的に大丈夫なんか~い!過重労働大丈夫なんか~い!と思わず突っ込まざるを得ない。そして、これが内閣府が主催しているコンテストということに末恐ろしさを感じる。

 

個人事業主になれば、会社とは労働契約ではなく請負契約や委任契約を結ぶことになるが、まず労働契約と請負契約の違いが(世のほとんどの人が)分かっていない。

労働契約であれば、労働者は使用者から都度指揮命令を受け、時間的・場所的な拘束を受け、時間に対して賃金が発生する。反面、請負契約であればそのような都度の指揮命令や拘束は受けず、また賃金でなく成果に対する報酬を受けることになる。そもそも請負契約に「賃金」という概念はない。労働契約と請負契約は似て非なるもので、全く違うのだ。残業になったとたん、そんな簡単に切り替えられるわけがない。

もし請負契約と言いつつ、実態が労働者性ありと判断されれば、それは偽装請負と言われかねない。

 

応募者は、そんなことはつゆ知らず(調べもせず)ノリで応募したのかもしれないが、これを優秀アイデアに選ぶ内閣府も内閣府。大丈夫かこの国?


前のブログ    次のブログ

 

採用・定着コンサルティング        

トモノ社労士事務所 

静岡市駿河区敷地2‐9‐5‐405  

☎054-237‐6811